監督が期待を寄せる4年生。

　青木、佐藤が柱になることは間違いないが、監督が期待を寄せているのは4年生たちだ。

「主将の大畑（和真）をはじめ、最終的には4年生がどれだけの働きをしてくれるかが、総合順位に影響してくると思います」

　7位に入り、次回のシード権獲得につながった全日本では、後半の5区から8区までを4年生で固めた。坪田監督の期待の表れだろう。

　全日本では5区の狩野琢巳が区間10位、6区の坂東悠汰が区間6位でつないで順位を押し上げ、経験豊富な土井大輔は7区で区間15位と苦戦したが、アンカーの主将・大畑は区間9位の走りでしっかりとシード権につなげた。

板東の調子が万全ならば。

　中でも期待されるのは坂東だ。3年生の時には関東インカレの5000m、10000mの両種目で入賞し、スピードランナーとして将来を嘱望されていた。ところが、今季は夏合宿の疲れがたたって、出雲の1区では想定外の15位に沈んだ。

　走り終えた坂東が、閉会式会場で状態を確かめるように、ジョグを繰り返していたのが印象的だった。「なぜだ？」と自問自答しているかのようだったが、その後に検査の結果、体調が思わしくなかったことが分かった。坂東はいう。

「貧血気味だったのと、筋力が落ちていたようです。出雲では本当に『おかしいな？』と思っていたんですが、原因が分かったことで安心しました」

　それが全日本の好走につながったと思われるが、箱根駅伝では過去に4区、1区、2区と走って思ったような結果は残せていない。距離の長い箱根駅伝での結果を求めすぎたオーバーワークだったと思われるが、坂東が復調すれば往路で上位でたすきをつなぐことが出来る上に、5区の青木がさらに上を狙うことが可能になる。

　もしも1区で出遅れることなく、レースの流れに乗ることが出来れば、法政大学は5位どころか、3位以内を狙うことさえ可能になってくる。

　控えめな坪田監督が、笑顔を見せる可能性は十分にあると見る。