第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
3年生を軸に初の総合優勝を狙う東海大学。
ダークホース・法政大学は堅実に上位を窺う。
text by
箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019
photograph byShunsuke Mizukami
posted2018/12/25 11:00
法政大学
<前回大会6位> 4年連続79回目
箱根駅伝特有の特殊区間には憂いなし。
上位進出のポイントはエース坂東。
文=生島淳
「今回の目標は総合5位です」
12月10日に行われた記者発表の席で、法政大学の坪田智夫監督の目標設定は、ずいぶんと控えめに思えた。
前回、5区の山上りで1時間11分41秒のタイムで区間賞を獲得した青木涼真(3年)、6区の山下りで2年連続で58分台をマークし、区間3位だった佐藤敏也(3年)を抱え、特殊区間要員に憂いがないのであれば、もっと上位を期待してもいいのではないか――と想像していた。
前回の総合順位は6位。ひとつずつ、地道に階段を上がっていくという「安定成長路線」を標榜しているのが、チームのカラーを表しているのかもしれない。坪田監督はいう。
「たしかに、みなさんは山に注目されるかとは思いますが、チームの状態は前回以上かと思っています。着実に5位以内を目指したいです」
今回、区間起用が明確なのは、5区の青木。出雲駅伝は欠場したが、全日本大学駅伝では1区を担当して区間5位。順調に調整が進んでいけば、山上りで前回を上回る1時間10分台への突入も夢ではないだろう。
たとえ4区までに遅れを取ったとしても、9人抜きを演じ、14位から5位へとジャンプアップした前回の再現が期待できる。青木は、
「山上りに向けて特別な準備はしていませんが、しっかりと練習を積んでいきたいと思います」
と淡々と山への準備を進めている模様だ。
6区で佐藤を起用するかどうか。
気になるのは、1年、2年と6区を担当した佐藤の起用法だ。坪田監督は、
「佐藤は平地でのスピードがあるんですよ。今年は、10000mで部内トップの28分35秒98の自己ベストも出してますし、私の中でも平地で勝負させたいという思いもあります。ただ、山下りでは計算が立つので、どうするか……」
これは6区に優秀な人材を持つ監督特有の悩みだ。
6区を走れる選手は、平地でも十分に勝負できるポテンシャルを持っている。とはいっても、平地を走らせた場合、6区で計算できるアドバンテージをみすみす手放すのももったいない。しかも昨今の復路は、6区で勢いの出たチームが好結果につながることも多い。
今回の法政大学は、佐藤をどの区間で起用するかが注目点となる。他のメンバーの状態も見極めながら、坪田監督は悩むことだろう。