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修造が訊く! 吉田信一(パラ卓球)は
なぜ人生を「ラッキー」と言えるのか? 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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photograph byYuki Suenaga

posted2018/12/24 08:00

修造が訊く! 吉田信一(パラ卓球)はなぜ人生を「ラッキー」と言えるのか?<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

写真左は、吉田信一選手を支えている小川真由美コーチ。東京パラリンピックでは、みんなの協力でメダルを狙う!

「てっぺんからの景色が見たい」

松岡「伝えて下さい、ぜひ。

 これは、僕の心からの愛情から出ている言葉だと思って聞いてほしいんですけど、吉田さんは胸から下が何も動かない。でも僕は今日ずっと話を聞いてきて、これほど心ができている人ってなかなかいないと思いました」

吉田「褒めても何も出ませんよ(笑)」

松岡「ただ褒めているわけではありません。体が動かなくても、心がちゃんと動いていることがすごく大事なんだって。

 僕は今日、吉田さんの心と会話して、色んな学びがあった。

 僕にも壁があるけど、比べたらぜんぜん壁でも何でもなかった。そんな風に前向きに考えることができるんだって、教えてもらいました。

 最後に聞かせて下さい。2020年がもうすぐやってきます。そこで何を見たいんですか」

吉田「やっぱり……てっぺんからの景色です。ふつうの国際大会では見たけど、パラリンピックを経験して、そこからの景色を見たくなりました。本当に夢であり、目標であり、それを絶対に東京で叶えたい」

松岡「パラリンピックもそうだけど、その先に、たくさんの伝えたいことがありそうですね」

吉田「今、徐々に障害者にも光が当たり始めていて、せっかく良い環境になりつつある。だからこそ、ちゃんとした選手ファーストの仕組みを作ってほしいなと思います」

松岡「2020年は大事だけど、その後のことも大事だと」

吉田「メダルは獲りたいし、もし獲れたら、自分たちの経験を次の世代に伝えていきたい。大会終了後、バリアフリーの施設とか、パラスポーツへの理解とか、日本にどれだけのレガシーが残されるのか。それもすごく楽しみです」

松岡「あれ……僕、いつしか吉田さんが卓球の選手であることを忘れてました。こんなに長い時間、卓球台を挟んで話しているのに(笑)」

吉田「ハハハ。最初は楽そうだから、と不純な動機で始めた卓球ですけど、今は終わりのない競技だと思ってます。何かをクリアしたら必ずまた課題が見える。奥が深いですし、楽しいです」

松岡「卓球の魅力に取り憑かれてますね」

吉田「魅力に取り憑かれた、バカヤロウです」

松岡「そんなそんな! 自分のことをそんな風に言わないで(笑)。

 長時間にわたって、本当にありがとうございました。

 吉田さんと小川コーチが、2020年で一番輝けることを、僕は本気で応援させていただきます!」

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