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コンサドーレ史に残る奇跡の立役者、
「古川先生」は東洋大監督で奮闘中。
posted2018/12/20 07:30
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph by
Isao Watanabe
「厚別の奇跡」
コンサドーレ札幌サポーターの間でそう呼ばれ、長く語り継がれているゲームがある。
'97年5月25日、札幌厚別公園競技場で行われたJFL7節、コンサドーレ札幌対川崎フロンターレ戦だ。いまから21年前。まだJリーグは1部制で、このときのJFLは現在のJ2に相当するカテゴリーになる。
両チームとも開幕6連勝、Jリーグ加入条件を満たした準会員同士、昇格候補の直接対決だった。
試合は88分、アウェイの川崎が3-1とリードを広げる。だが89分、札幌はFWバルデスのループシュートで1点差に。さらにアディショナルタイムのラストプレーで、バルデスのヘッドが決まり同点に追いつく。
するとVゴール方式の延長戦後半7分、バルデスがハットトリックとなる決勝弾。残り1分からの劇的勝利は、クラブ誕生2年目だったコンサドーレの、北海道内での知名度と人気を飛躍的に高める一戦となった。
2度目の大逆転劇のヒーロー。
この大逆転劇には、じつは続編がある。同じシーズンの9月4日、場所を等々力陸上競技場に移しての20節川崎フロンターレ対コンサドーレ札幌戦。今度も川崎が前半で3-1とリード。追い掛ける立場の札幌は、後半15分に負傷者が出て、早々と3人目の交替枠を使い切る苦しい展開だった。
それでも後半31分、バルデスのヘディングで1点差に迫ると、その4分後にやはりバルデスが右足で合わせ同点に。遂には延長後半11分、またしてもバルデスがハットトリックとなる延長Vゴールを叩き込んだ。
スコアの推移もまったく一緒。102日前の大逆転をなぞるように札幌が再び勝利をおさめ、初のJリーグ昇格に向けて加速していった。
この2戦目も主役はもちろんバルデスだったが、札幌には陰のヒーローと呼ぶべき「再びの奇跡」の立役者となった選手がいた。後半15分、頭部を裂傷したDFに代わり、急遽センターバックに入った古川毅(つよし)だ。