JリーグPRESSBACK NUMBER
2年前、柴崎岳も感じた「なるほど」。
レアル戦が鹿島にもたらすきっかけ。
posted2018/12/18 17:00
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph by
AFLO
2016年12月18日。
Jリーグ王者の鹿島アントラーズが欧州王者のレアル・マドリーから金星をもぎ取りかけた、クラブW杯決勝が行われた日だ。今から2年前の横浜国際総合競技場に、6万8742人が集まった。鹿島のクラブハウスがある茨城県鹿嶋市の当時の人口は6万7775人。それを超える人数である。テレビ中継放送の平均視聴率も26.8%という高い数字を記録した。
注目を集めた所以は、鹿島の戦いだった。レアル相手に固くなることも舞い上がることもなく、攻守に落ち着いて対応し、あと一歩のところまで追い詰めた。
何より劇的だったのは試合展開だ。開始9分に早くもレアルのベンゼマがゴールをあげた。早すぎる失点。しかしその1分後、小笠原満男がミドルシュートを放つ。当時にして15個のタイトルをつかんできた男が、この日もチームを引っぱる。
勝つのは俺たちだ――。
味方への鼓舞、メッセージのようなミドルシュートで勝利への意志を示した。そして44分、柴崎岳が土居聖真のクロスに反応して左足でゴール右隅に流し込む。1-1。前半のうちに、試合を振り出しに戻した。
さらに52分、またしても柴崎が強烈な左足ミドルシュートを突き刺す。2-1。逆転。いよいよ、レアルがギアを上げた。60分にC・ロナウドが同点弾。15分ハーフの延長戦に入ると、鹿島は前半から立て続けに攻められた。C・ロナウドの2ゴールで2-4。
鹿島に関わるすべての人にとって心に残る、最高に興奮した、最高に悔しかった試合の1つである。
柴崎「優勝しなければ意味がない」
当時、柴崎はクラブW杯決勝の舞台を、「チームを勝たせることができずに悔しい」と振り返った。個人として2ゴールのインパクトを残し、C・ロナウド、モドリッチとともに個人賞を受賞したが、表彰式では憮然とした表情を浮かべた。試合に勝てなかった悔しさがにじみ出ていた。
「勝っても負けても、結果がすべての世界。どうせその試合のことなんて、何十年後には覚えていないでしょうからね。その意味でも結果しか残らない。2位で良かったなんて、ふつう誰も思わない。優勝しなければ意味がないんです」