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長谷部誠が語ったダービーの凄さ。
乱闘騒ぎや裁判沙汰も普通のこと。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUNIPHOTO PRESS
posted2018/12/14 10:30
スタジアムでの発煙筒が肯定されるわけではないが、これも欧州サッカーの一部であることは間違いない。
行政を巻き込んで街への出入り禁止も。
久しぶりに両チームが激突した余波は大きく、続く2016年4月30日の対戦では前回のゲームでフランクフルトサポーターが起こした問題のペナルティとして、DFBスポーツ裁判所がダルムシュタットのホームであるシュタディオン・アム・ベレンファルトアーへのフランクフルトサポーターの出入り禁止、すなわちアウェー席の無観客試合を決定します。
さらにダルムシュタット市は、試合前後の36時間にわたるフランクフルトサポーターの市中心部への出入りを禁止すると発表したのです。
これにはフランクフルト側も怒り心頭。ファンが行政裁判所に申し立てを行い、審理の結果、市内出入り禁止処分を一時的に中止される二転三転ぶり。そして試合は、長谷部が同点ゴールを決めるなどして、アウェーのフランクフルトが2-1で勝利したのです!
「いやー、殺気立っているというか……。フランクフルトのサポーターはドイツ国内でも過激と言われているんですけども、ダルムシュタットと対戦したときに、その凄まじさを改めて感じました。これがダービーなんだなって」
ダルムシュタットは2016-2017シーズンに最下位となって2部に降格したため、今季の両者の対戦はありません。通算成績はフランクフルトの5勝3敗で、これまで引き分けは一度もなし。サポーター同士がライバル心を熱く燃やすのに対し、ピッチ上ではこれまでひとりも退場者が出ていないクリーンゲームが展開されているのも興味深いところです。
フランクフルトとダルムシュタットの因縁。その名を『ヘッセンダービー』。怖いもの見たさで一度観戦したいものです。長谷部は「もう、嫌」と言うかもしれないけど。