猛牛のささやきBACK NUMBER
金子千尋が自由契約前に話し込んだ、
オリックスの未来と自身の葛藤。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/12/14 08:00
金子千尋はオリックスで最多勝2回、最多奪三振1回、最優秀防御率1回、2014年には沢村賞、パ・リーグMVPを受賞した。
オリックスの未来を話し合って。
自由契約を選ぶのかどうかが注目されていた11月21日、舞洲の球団施設で練習を行なった金子は、居合わせた報道陣を自ら集めて、思いを語った。
1つは連日の報道に対する訂正だった。
「報道がいろいろある中で、直してほしいなというところがあります。今日の新聞にも『交渉』と出ていましたけど、交渉しているつもりはまったくない。年俸だったり、インセンティブ、年数、そういうことに関してはいっさい僕からは話をしていません。そこでもめているみたいな感じにされているのがすごく嫌です。そこは本当に間違えないでほしい。
昨日も長村(裕之球団本部長)さん、森川(秀樹球団本部長補佐)さんと話をさせてもらいましたが、それも交渉ではなくて、話し合い。今後のオリックスの未来がどこに向かっているのか、ということをほぼメインに話をさせてもらいました」
新しいチームにいていいのか。
そう話した上で、声を詰まらせながら複雑な胸の内を明かした。
「14年間ここでプレーしてきて、オリックスのことを大好きだし……、一緒にやってきた仲間、裏方さん、支えてきてくれた人たちがたくさんいるので、その人たちのためにも、一緒に優勝したいという思いがあります。
でも逆に、オリックスのことを考えて、好きだからこそ今、若返りというか新しくなろうとしているチームに、自分がいていいのか、いることによってマイナスになることもあるんじゃないかと、すごく自問自答することが多くなりました。
僕が入る前からですけど、僕が入ってからもオリックスは優勝できていないということで、なにか僕に原因があるんじゃないかなと思うことも正直あります。だから僕がいなくなったら、もしかしたらオリックスが優勝できるんじゃないかと考えることも……。
“優勝請負人”って言われる人がいるじゃないですか。その逆のパターンなのかなとか、僕がいることによって若手にあまりいい影響がないんじゃないかと、やっぱり結果が出ていないので考えちゃうんですよね」