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初優勝の貴景勝を支えた新師匠夫妻。
おかみさんが語る新生・千賀ノ浦部屋。
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKyodo News
posted2018/12/03 11:00
初優勝の貴景勝を囲んで。右端におかみの留美子夫人、その隣が千賀ノ浦親方。千賀ノ浦部屋の公式ツイッター(@chiganoura_beya)はファンの間でも大人気。
「思いやりを持って、優しさを忘れるな」
貴乃花部屋の力士たちを受け入れ、早2カ月。17名の力士と6名の行司や呼出など、総勢23名が集う「新生・千賀ノ浦部屋」となった。
「ちゃんこの時間など、くだらないことを言い合ってゲラゲラ笑ってる。『何がそんなにおかしいの?』と思うくらいに、両方の力士がうちとけています。
旧千賀ノ浦部屋と旧貴乃花部屋の力士たちを、親方が繋いでいる。『お~い、○○』と、分け隔てなく声を掛けて、やはり親方が中心になっています。稽古方法ひとつでも違ったりするけれど、兄弟子が弟弟子に丁寧に教えていたりする姿も、うれしいですね。
とにかく親方は、『思いやりを持って、優しさを忘れるな』と、しょっちゅう言っています。
言ってみれば相撲部屋は他人の集合体の“疑似家族”のようなもので、思いやりや優しさを持ち寄らないとうまくいかないものだと思うんです。
お相撲さんはみんな純粋だから、この親方の言葉がすっと心に入って行っているみたい。部屋のムードができつつあるのかな、と見ています」
一番大事にしている「安心感」。
この2カ月を振り返って、さらに留美子夫人はいう。
「確かにびっくりしましたし、激動ではありました。
まずは九州場所の宿舎の寝る場所を確保して、それは地元の方の協力もあって大丈夫だったんですが、本当に目まぐるしかった2カ月でした。
今、私たち夫婦で話して大事にしているのは、『安心感』なんですよ」