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初優勝の貴景勝を支えた新師匠夫妻。
おかみさんが語る新生・千賀ノ浦部屋。

posted2018/12/03 11:00

 
初優勝の貴景勝を支えた新師匠夫妻。おかみさんが語る新生・千賀ノ浦部屋。<Number Web> photograph by Kyodo News

初優勝の貴景勝を囲んで。右端におかみの留美子夫人、その隣が千賀ノ浦親方。千賀ノ浦部屋の公式ツイッター(@chiganoura_beya)はファンの間でも大人気。

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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Kyodo News

 22歳の小結貴景勝が初優勝を遂げた。10月はじめ、師匠だった貴乃花の突然の退職――。急遽、千賀ノ浦部屋に移籍して迎えた初めての場所でもあった。

「周囲が騒がしく、環境の激変があったからこそ、『相撲だけに集中しよう』と普段に増して集中力が高まり、あの気迫も出てきたのでは、と思えるんです。あの時、貴景勝は何かを考えるよりも、ただひたすら純粋に相撲に向かっていく印象でした」

 そう「新生・千賀ノ浦部屋」のおかみである留美子夫人はいう。

 貴乃花親方の退職をテレビの報道で知ったという貴景勝の母、佐藤純子さんが、その当時を振り返る。

「私はショックで泣き崩れてしまったのですが、すぐに息子に電話しても出ないし、返信もなくて心配が心配を呼んで……。そのうち『大丈夫』と一言だけ(ラインが)返って来ました。何を聞いても『大丈夫』『ありがとう』だけだったんですね」

貴景勝「やることはひとつです」。

 小学生時代、はるばる神戸から父子で通い、「貴乃花キッズクラブ」でその薫陶を受けた。高校卒業を待たずに入門を志願するなど“貴乃花部屋の申し子”だったのが貴景勝だ。

 仰ぎ見る師匠が角界を去り、おそらく、その心のうちは乱れただろう。しかし慌ただしい環境変化のなかでも、「やることはひとつです」と、ブレることはなかった。

 貴乃花親方の退職以来、ことあるごとに報道陣に囲まれていたが、けして逃げることなく真摯に対応する、肝の座った22歳だ。

 そんな貴景勝なのだが、おかみの留美子夫人はいう。

「普段はよく喋るし明るい子です。オンとオフのスイッチの切り替えが、きちんと出来る子なんですね。受け答えもしっかりしていて、安心して見ていられます。逆に親方のほうが心配で、テレビに生出演していても『あ、また噛んだわ!』などど、横にいる貴景勝が心配そうにしているくらいで(笑)」

【次ページ】 「自分が引き受けないといけない」

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