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王者は王者を知る。最後のアロンソに
ハミルトンとベッテルが示した敬意。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2018/12/02 09:00
ゴール後、ハミルトン、ベッテルとドーナツターンを見せたアロンソ(手前)。偉大な王者への敬意がサーキットを包んだ。
過去3冠達成の人物は1人だけ!
過去にこれを達成したドライバーは、グラハム・ヒルひとりしかいない。
'07年にF1のモナコGPを制し、今年ル・マン24時間レースにも勝ったアロンソが、F1を捨ててでもインディへ行くのは当然の帰結だった。
事実上のF1離脱ではあるが、正式なF1引退ではないため、アブダビGPでは正式な引退会見も、セレモニーも行われることはなかった。それでも、多くの人々は「これがアロンソの最後のF1」という思いで、今シーズン最終戦を見守っていた。その思いは、ハミルトンとベッテルも同じだった。
ハミルトンにとってアロンソは、'07年にマクラーレンからF1にデビューしたときのチームメートであり、最大のライバルだった。この年、両者は王座を巡って骨肉のチーム内バトルを演じた。
修復不可能になるまで悪化した2人の関係により、マクラーレンはこの年、タイトルを逃し、最終的にアロンソがチームを離脱するという最悪の結末を迎えた。しかし、ハミルトンはいまでもアロンソへの尊敬の念は変わらないと語る。
「僕たちが過去に争ったことは事実だ。しかし、それはコース上でのこと。人間として、僕はフェルナンドをデビューしてきたときから尊敬しているし、それはいまも変わらない」
3度も王座を争ったベッテル。
'10年、'12年、'13年と3度、アロンソとタイトル争いを演じたベッテルも、アロンソの偉大さを肌で感じているひとりだ。
「僕がフェラーリに移籍する前に、フェルナンドはここにいた。いかに彼がチームに愛されていたかは僕がよく知っている。彼がF1でこれまで成し遂げてきたことに疑問の余地はないし、これから切り開く未来も僕たちは注目している」
ハミルトンとベッテルの粋な計らいにアロンソは感謝した。
「ドーナツターンに誘ってくれたルイスとセバスチャンに感謝している。とても感動的だった。僕も彼らを尊敬している。偉大なチャンピオンたちだ。F1生活の大半を彼らとレースできたことを光栄に思う」