球体とリズムBACK NUMBER
ベルマーレJ1残留を託される2人、
菊地俊介と石川俊輝の以心伝心。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2018/11/27 11:30
湘南ベルマーレを支える石川俊輝(左)と菊地俊介。運命の最終節でも、走りきって勝ちに行く。
湘南一筋としての愛着。
ふたりとも、プロのキャリアは湘南一筋。当然ながら、愛着の強いクラブで、2度目の降格は経験したくない。
残る最終節に向けて、「自分たちらしくやれれば、結果はついてくると信じている。みんなのことを信頼しているし、全員が信頼し合っている。大丈夫だと思います」と副キャプテンの菊地は言葉に力を込めた。
一方の石川は「湘南には代表クラスの選手が揃っているわけではないので、ちょっとしたことをおろそかにすると、崩れてしまいかねない。人任せになったり、大丈夫かなという気持ちが少しでもあれば、うまくいかなくなる。だからメンタルコンディションも大事です。このチームの良さは一体感だと思うので、それを崩さないように」と丁寧に語った。
名古屋相手にも「勝ちに行く」。
その言葉は、試合後にチョウ監督が話したところにも通じる。
「とにかく徹底しよう、と。一歩とか、1mmとか、ちょっととか、そういうものをなおざりにしてしまうと、我々ではない。そういうちょっとしたことが人生を変えてしまう。なんてことないことをやらなかったばかりに、それまでの苦労が水の泡になる。選手時代も指導者になってからも、そんなシーンをたくさん見てきた。今日はそれを(チームに)伝えて、いい方向に働いたかな」
初タイトル獲得の後に、リーグ戦の残留争いを最後まで演じてしまった湘南。16位の名古屋グランパスとの最終節はドローでも残留が決まるが、「引き分けでよければ、後ろでボールを回していればいい。けど、それはショーとして間違っている」と監督は言い、副キャプテンの菊地は「引き分けでいいという考えはない。勝ちに行く」と語気を強めた。
彼らは最終節も湘南らしさを貫く構えだ。そのスタイルが真価を発揮すれば、きっと大丈夫。そう信じているのだろう。