球体とリズムBACK NUMBER
ベルマーレJ1残留を託される2人、
菊地俊介と石川俊輝の以心伝心。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2018/11/27 11:30
湘南ベルマーレを支える石川俊輝(左)と菊地俊介。運命の最終節でも、走りきって勝ちに行く。
慎ましくクレバーな石川。
背番号6を背負う石川俊輝は控えめなスポーツマンだ。174cmのポリバレントなMFは、常に周囲を生かすことを考えながらプレーしている。
「誰と組んでもその人を生かせるようなポジショニングを心がけている」と、この日も前半は齊藤未月、後半は金子大毅と、中盤センターで別の選手とコンビを組んだ石川は言う。
「僕自身に主体性があまりないので。仲間に合わせるのは、プレースタイル的にも、性格的にも、問題なくできます。組んだ選手がどうすればやりやすいのかを考えながら」
どこまでも慎ましい石川に、こちらの印象をぶつけてみた。そのクレバーな働きがベルマーレを支えているようだ、と。
「自分が支えているとは思っていないです」と石川は伏し目がちに謙遜する。「今季のチームだったら、(菊地)俊介や(秋元)陽太さん、ウメさんたちが引っ張ってくれている。僕は先頭に立つタイプではないので、後ろから、少しでもチームのためになることをやろうとしているだけです」
持ち上げても決して地から足が離れない石川だが、その存在価値は日に日に高まっている。「ここ一年で非常に伸びました。(イビチャ・)オシムさん風に言えば、『水を運ぶ選手』。目立たないけど、本当に効いている」とチョウ監督は彼を評す。そして同じポジションで頭角を現す若手の齊藤や金子の良き手本になっていると言う。
「5年間も一緒にやれるとは」
今季の湘南では若手やベテランが主役になることが多い。けれど、中心にはいつもこの中堅ふたりがいる。
石川によると、菊地とは小学6年生の頃に知り合い、「実家は車で10分ほど」の距離。中学校3年間は大宮のジュニアユースに一緒に通っていたという。高校からは別々のチームでプレーし、それぞれに別の大学を経て、同じ時期に湘南に入団。ここにもサッカーの神様の配剤を感じてしまう。
「俊介は1年目からレギュラーとしてバリバリ活躍していました。すごく刺激を与えてくれるので、追いつけ追い越せという気持ちでやってきました。大学を出る時に、一緒にできたらいいね、と話していましたけど、それが実現して、5年間も一緒にやれるとは思ってもみなかったです」