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冬の争奪戦とハーパーの行方。
急浮上したフィリーズの戦略とは。
posted2018/11/23 10:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
ワールドシリーズが終わり、新人王やサイ・ヤング賞が決定し、2018年の大リーグもこれで一服という時期になったが、早くもウィンター・ミーティングの行方が注目を集めている。
今年のウィンター・ミーティングは、12月9日から13日にかけてラスヴェガスで開催される。ブライス・ハーパーやマニー・マチャドを筆頭に、今年はFA資格を得る有力選手が何人もいる。それをあおるかのように、本格的な選手争奪戦がはじまる前からけっこう派手な動きが出ている。
たとえば、ヤンキースは若手有望株3人との交換で、マリナーズから左腕のジェームズ・パクストンを獲得した。パクストンは今年の11月初めに30歳の誕生日を迎えたばかりで、マイク・リークやマルコ・ゴンザレスと並んで今季のマリナーズ投手陣を牽引した。'18年5月8日の対ブルージェイズ戦でノーヒッターを達成したことも記憶に新しい。
CC・サバシアの衰えが目立つだけに、ヤンキースは喉から手が出るほど左腕を補強したかったにちがいない。これで、ルイス・セベリーノや田中将大とともに先発3本柱は確立できそうだが、欲をいえばもう1枚、先発の駒を手に入れたい。
標的さえ見つかれば、力はあるが怪我の多いディディ・グレゴリアス内野手を交換要員にまわすことも、ヤンキースは辞さないのではないか。あるいは、菊池雄星の獲得に本腰を入れるとか。
実力派左腕が大谷の同僚に?
気を惹かれる噂はまだある。オリオールズは、今季ナショナルズとブルワーズを渡り歩いた実力派の左腕ジオ・ゴンザレスに触手を伸ばしている。エンジェルスは、アストロズのエース左腕だったダラス・カイケルを狙っているようだ。投手・大谷翔平をまるまる1年失うことがわかっているだけに、どうにかして投手陣をテコ入れしたいのだろう。
彼ら以外にも、ワールドシリーズで一躍男を上げたネイサン・イーヴォルディには10球団が興味を示しているらしい。'19年いっぱいでダイヤモンドバックスとの契約が切れるポール・ゴールドシュミットの周囲にも、怪しげな煙が立ちのぼっている。