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エリザベス女王杯はノームコア!
騎手、牧場、厩舎の全てが追い風。
posted2018/11/10 10:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
NIKKAN SPORTS
牝馬三冠を圧倒的な強さで制したアーモンドアイは11月25日のジャパンカップ、昨年の秋華賞馬で、重賞2連勝中のディアドラは12月9日の香港カップに向かうことになった。これら「2強」が不在でも、第43回エリザベス女王杯(11月11日、京都芝外回り2200m、3歳以上牝馬GI)には、昨年の勝ち馬モズカッチャンをはじめ、好メンバーが揃った。
さあ、どの馬を軸に馬券を買おうか――と考えるとき、まず騎手を見るという人が、今は非常に多いのではないか。
今年これまで行われた平地GI19戦(JBC3戦を含む)のうち、クリストフ・ルメール(39)が7勝、川田将雅(33)と福永祐一(41)が2勝をマークしている。
2着はミルコ・デムーロ(39)が3回、ヒュー・ボウマン(38)、武豊(49)、川田、戸崎圭太(38)、和田竜二(41)が2回。
3着は武、川田、三浦皇成(28)が3回、石橋脩(34)が2回。
「ルメールとデムーロに、ときどき武や川田、三浦をからめて買えばいいんだよ」と言ってしまうと身も蓋もないが、そうした状況がつづいているのが現実だ。
冒頭に記した「2強」は、どちらもルメールのお手馬である。さらに言うと、2頭ともノーザンファームの生産馬だ。ノーザンファームは、賞金、勝ち鞍とも2位にダブルスコア以上の差をつけてリーディングを独走している。
同じことが当てはまる昨年のダービー馬レイデオロを含め、上手くレースを使い分けていることがわかる。
キャリアは僅か5戦でも……。
その「ルメールが乗るノーザンファーム生産馬」が、ここにも出てくる。
ノームコア(3歳、父ハービンジャー、美浦・萩原清厩舎)である。
3代母ラスティックベルは、娘のフサイチエアデール(ノームコアの大伯母)がクイーンカップを勝ったライラプス、2005年の2歳王者フサイチリシャールを送り出すなど、牝系の枝葉をしっかりとひろげている。
父ハービンジャーは、前述のディアドラ、モズカッチャンなど、成長力のある産駒を送り出している、非サンデー系の一流種牡馬だ。
ノームコアのキャリアは僅かに5戦だが、前走の紫苑ステークスの内容が素晴らしかった。
従来のレースレコードを一気に1秒7も更新する1分58秒0のタイムで、2着を3馬身突き放して快勝。16頭立ての14番という外枠から出て、好位の外目で折り合い、直線で馬群の隙間から鋭く抜け出した。2着に負かしたのが2歳戦線やクラシックで上位に来ていた実力馬マウレアというのも価値がある。
騎手と血統ばかりでなく、僚馬の3歳牡馬ルヴァンスレーヴが岩手の南武杯でゴールドドリームらの古豪を退けて優勝するなど、萩原厩舎にも勢いがある。
前走の内容から13番という外目の枠は問題ないし、「買い」の材料はルメール以外にもたくさんある。