フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
カナダで邂逅した2人の女王と新星。
山下真瑚という日本の新ヒロインも。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2018/10/31 16:30
左から、銀メダルの山下、金のトゥクタミシェワ、銅のメドベデワ。15歳の日本の新星、21歳、18歳の元女王らは、揃って北京冬季五輪を目指す。
日本フィギュア界の新星、山下真瑚。
2人の世界女王と一緒に表彰台に上がったのは、日本の新星、15歳の山下真瑚である。SP、フリーを通してほとんどジャンプミスがなく、シニアGP初戦で堂々と最後まで笑顔で滑り切った。
「メダルを取れるとは思っていなくて、でも自分の精一杯がSPでもフリーでも出せたからこの結果をいただけた。すごく嬉しいですけど、もっともっとたくさん直すところがあるなと自分で思っています」
樋口新葉、松田悠良の2人の先輩はいずれも足に負傷を抱えて実力が出し切れなかった中で、初出場の彼女がメダルを勝ち取った。試合であまり緊張しない、という頼もしい15歳である。
樋口美穂子コーチは、「予想以上の結果でした。今日の演技の評価は120点くらい。今できることを精一杯やった」と評価しながらも、「ただいろんな細かいところを、もっと突き詰めてやっていかないといけない。もうちょっと殻を破っていかないとシニアでは戦っていけない、といつも言っています。まだ若いので今は勢いでいけるけれど、もうちょっときちんとした地盤を作っていかないと」と、今後の課題も口にした。
経験豊かな2人の元世界女王と、これからシニアに本格的に挑戦していく新人の山下と。まるで競技人生の縮図を見ているかのような、ストーリー性豊かな女子の試合だった。