セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「イタリア最高のMF」はまだ21歳。
サッカーも結婚も早熟な男バレッラ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/10/31 11:15
ポーランド戦、決勝ゴールのビラーギに駆け寄るバレッラ(左)。大先輩のピルロにも絶賛されている逸材だ。
守備の国に、攻撃の文化を根付かせる。
天才司令塔ピルロや巨頭デロッシが去って以降、深刻な人材難と低迷に苦しんできたアズーリの中盤は、ようやく新たなアイデンティティを得た。「中盤3枚はジョルジーニョとベッラッティ、そしてバレッラで固定化すべきだ」という論調も日増しに強くなっている。
今秋、イタリア・サッカー連盟は創立120周年を迎えた。長い歴史をもつ守備の国の代表チームに攻撃サッカーを根付かせようというマンチーニの試みは、若い新戦力の台頭が鍵になる。
バレッラだけではない。
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同じ“97年組”であるFWキエーザ(フィオレンティーナ)は、すでに新世代アズーリのレギュラーポジションの座を事実上つかみとっている。
来年自国開催されるU21欧州選手権に照準を合わせる'97年組の中には、バレッラの同僚DFロマーニャ(カリアリ)やMFマンドラーゴラ(ウディネーゼ)といった才能たちが、近い将来のA代表招集を目指してひしめいている。彼らの中からEURO2020の予選で抜擢されるものも出てくるだろう。
「結婚したら整理魔になって驚いたよ」
10月の連戦で共闘した後、それぞれのクラブに戻ったバレッラとキエーザは再開したセリエAで対戦した。フィレンツェでのゲームは1-1の痛み分けに終わったが、アンダー代表世代から互いに気心知る彼らはすぐに次の目標に頭を切り替えた。
11月17日、アズーリはミラノにポルトガルを迎え撃つ。舞台は、昨秋のロシアW杯予選プレーオフで国民にトラウマを刻みつけたサン・シーロだ。結果次第では来年6月のNLファイナル4進出の目も出てくるが、マンチーニは「重視すべきはEURO予選」と先を見据える。
代表の未来への足がかりをつかんだバレッラは、数年前まで直情的でイエローをもらいやすいという評判があった。
ところが、昨季あたりからそれが鳴りを潜め、ゲームキャプテンも任されるまでになった。パス捌きも整理されてきた。
「小さい頃、片付け魔だった母さんをあんなに嫌っていたくせに、いざ結婚してみたら自分も整理魔になって驚いたよ」
世界も代表も変わる。若すぎることはない。