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DeNA濱口遥大の勇敢さは折れず。
「苦しんだけど濃い2年目だった」 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byKyodo News

posted2018/10/30 10:00

DeNA濱口遥大の勇敢さは折れず。「苦しんだけど濃い2年目だった」<Number Web> photograph by Kyodo News

今季は4勝5敗、防御率3.90に終わったが、10月1日の阪神戦で7回無失点と好投するなど光明が見える。

高速スライダーという収穫。

 ネガティヴなムードをチームに持ち込まないという濱口の気持ちは理解できる。ただ以前もこのコラムで指摘したが、やはり先発陣の中にチームを牽引するようなリーダーが不在ということなのだろう。この点は来季も気になるところだ。

「ただ、上手くいかないことばかりじゃなかったんですよ」

 濱口の口調に若干の熱がこもる。

「苦しかったかもしれないけど、すごく濃いシーズンだったんです。経験として、今後のことを考えれば大切なことを知ったし、勉強になることも多かった。なによりも自分がどんなピッチャーなのか、より理解できたのが収穫でしたね。果たして何が強みなのか。自分の取り組むことは何なのか。調整方法や修正力。この経験を無駄にしたくない」

 得る物は多く、着実に成長していると本人は自覚している。

 オールスター戦後の後半戦、濱口はようやく復活の兆しを見せ4勝を挙げた。特に印象的だったのは10月1日の阪神戦。濱口は7回1安打9奪三振の好投を見せた。大胆に、かつ繊細に。緩急を巧みに使い、新球の高速スライダーで三振を奪う姿は、投手として以前とは異なる趣と奥行きがあった。

カウントを作りやすくなった。

 昨季はあまり空振りを取ることのできなかったスライダーだったが、今シーズンの使用比率は約15%に上がり自信をもって投げている。コンディション不良の要因とも言われているが、新球について濱口は次のように語る。

「キャンプから取り組んできた高速スライダーですが、じつはシーズン序盤は精度も悪く、使えるボールではなかったんです。本格的に投げ始めたのは後半戦からで、ピッチングのいいアクセントになりました。

 例えば右バッターの場合、フォークやチェンジアップは外に行くのでアウトコース主体になっていたのが高速スライダーのおかげでカウントを作りやすくなった。また左バッターに対しては数字的にはわからないんですが、精神的な部分で余裕をもって内と外を使い分けられるようになりましたね。以前は踏み込まれて打たれていましたが、球速が出たことでそういうことがなくなったんです」

【次ページ】 捕手・伊藤光の存在の大きさ。

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