ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
DeNA濱口遥大の勇敢さは折れず。
「苦しんだけど濃い2年目だった」
posted2018/10/30 10:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
濱口遥大に今シーズン前半の不調の原因について尋ねると、頭の中でいろいろなことを反芻するような表情で首を傾げた。
「本当、今シーズンはチームに迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちです。ただ、自分の中では昨年と比べてピッチング自体そんなに大きく変わったという思いはないんです」
ルーキーイヤーの昨季、2桁勝利を挙げ新人特別賞を獲得した濱口に掛かる期待は大きいものだった。しかし開幕前に左肩の違和感により出遅れ、5月中旬に戦列へ復帰するもオールスター戦まで勝ち星はなし。持ち味であるボールの勢いは鳴りをひそめ、制球に苦しんだ。特に7月1日の広島戦では、1イニング7四死球、プロ野球ワーストタイとなる4者連続押し出しを記録してしまう。
「前半戦は粘るところで粘れない、先頭打者をアウトにしてリズム良く投げることができず、なかなか噛み合いませんでした。相手から研究されていた? いや、それはあまり感じませんでしたね。あくまでも自分の問題。微細な加減というのか、そういった部分が試合中に修正できませんでした」
苦しんだ時期こそ暗くならず。
相手ではなく、自分と戦ってしまったと濱口は語る。昨季は日本シリーズまでほぼフル回転で活躍し、春季キャンプでは肩の違和感を覚えた。きっと疲労の蓄積もあったのだろう。自覚があまりない状態で身体のバランスを崩し、結果、コンディショニングに苦労してしまった。
濱口が苦しんでいた同時期、同じ左腕で先輩の石田健大や今永昇太も不振にあえいでいたが、ピッチングに関し相談やアドバイスなど互いに言葉を交わす機会などはあったのだろうか。
「いや、そういった会話はあまりしませんでしたね。各々が自分に向き合うという感じでしたし、苦しい気持ちや上手くいかない状況をチームに持ち込むべきではないのかなって。昨年も苦しい状態になるとうつむき加減になっていたんですけど、チームとして戦っている以上、そういう選手が身近にいてはチームのプラスになることはない。だから暗いことはあまり言いませんでした」