スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ドジャースの勝機と球場要因。
ワールドシリーズの結末を占う。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2018/10/26 11:15
ワールドシリーズ開幕前に握手を交わしたドジャースのロバーツ監督(左)とレッドソックスのコーラ監督。
球場要因を味方につければ。
とくに第5戦。5回から7回にかけての、単打と四死球と盗塁を組み合わせたスモール・ベースボールはめざましかった。なにしろ、飛び出したヒットがすべて、センター方向もしくは反対方向への打球で、レフトへのヒットが極端に少ないプルヒッターのマックス・マンシー(左打者)までもが、外角球にこつんとバットを合わせていたのだ。
この戦い方を再現できれば、ドジャースにも十分に勝機は生まれる。とくに第3戦から第5戦までは(5戦まではもつれ込むはずだ)ドジャー・スタジアムでの試合開始時刻が午後5時過ぎだ。デーゲームほど影は濃くないが、この球場のこの時間帯は、長打を狙いやすい環境とはいいがたい。
しかもこの3試合は、ナ・リーグ・ルールで行われるからDHを使うことができない。おそらくレッドソックスは、(普段はDHの)主砲J・D・マルティネスをライトの守備位置に就かせ、右翼手のムーキー・ベッツに二塁を守らせるのではないか(もともとベッツは内野手だった)。マルティネスをベンチに下げれば、自慢の攻撃力が大きく低下するからだ。
ここがドジャースの付け目になるような気がする。球場要因を味方につけ、スモール・ベースボールでこつこつと点を稼ぎ、中継ぎの奮戦でレッドソックスの破壊力を半分程度に抑え込むこと。それができれば、そしてエラーを最小限に抑えれば、ドジャースにも十分にチャンスが出てくる。
レッドソックスが制覇するなら、勝負は5戦か6戦であっさり決まるだろう。だが、もし7戦までもつれこむようだと、ドジャースの寝技が効く可能性も生まれる。デイヴ・ロバーツ監督の思い切った決断に期待しよう。