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J1昇格争いに大宮は生き残れるか。
カウンターの“型”がその分水嶺。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/10/24 10:00

J1昇格争いに大宮は生き残れるか。カウンターの“型”がその分水嶺。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

大前元紀の個人能力はJ2屈指だ。大宮には彼らを存分に生かしたカウンターを仕掛ける意図が欲しい。

追加点が取れなくて苦しむ。

 もう1点取るための武器が足りない。突き離して勝ちきれない。それが大宮の今の順位につながっているように思える。

「先制点が取れるまでは完璧だったんですけど、2点目が……。うーん、今年は追加点が取れなくて苦しんでいる試合が多いんで、今日の引き分けはかなり痛いですけど、切り替えて次の試合に臨みたい」

 大前は厳しい表情で、そう言った。

 このドローで大宮は勝ち点64の6位に順位を下げた。

 ただ、残り4試合で首位松本との勝点差は6のまま。2位大分とは勝点5差だ。数字上はまだ自動昇格の可能性が残っているし、大前もあきらめていない。

「まだチャンスがあるし、自動昇格を狙わないとプレーオフも見えてこない。自動昇格はまだ数字的に狙えるんで諦めないでやっていく」

まずプレーオフ圏内死守を。

 とはいえ上位チームの調子と残り試合を考えると、プレーオフ圏内に入るのが現実的なところだろう。気になるのが対戦相手だ。

 首位の松本とは今季2敗で相性が悪いが、福岡と東京Vとは1勝1敗の五分だが、ホームでは負けてない。横浜FCとは1勝1分、大分とは2勝と相性がいい。となると、まずはホームでのプレーオフ開催の権利を得る3位、4位を獲得したいところだ。

 ただ今季はJ2昇格プレーオフを勝ち上がっても、J1チームとのプレーオフが待ち受けており、非常に厳しい戦いが予想される。J1残留争いも近年まれに見るデッドヒートで、どのクラブも簡単に負けない粘り強さがある。それだけに勢いだけではなかなか勝てないだろう。

 守備から入り、前半を無失点に抑えること。チームとしてすべきことはできている。しかし、勝つ確率を高めるためには、栃木戦、横浜FC戦に露見したカウンターの整備など、浮き彫りになった課題を速やかに修正し、やれることをすべてやっていくしかない。

 それが残り4試合を勝つため、さらにプレーオフを戦う準備にもなっていく。

 細部にこだわらなければ、勝利の女神も微笑まない。

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