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MLBにあって日本にないもの。
「ラジオ文化」と名物アナの存在。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2018/10/20 17:00

MLBにあって日本にないもの。「ラジオ文化」と名物アナの存在。<Number Web> photograph by AFLO

言葉の国アメリカでは、ベースボールも「どう語られるか」が大切だ。ボブ・ユッカーはその偉大な担い手の1人である。

野球人たるもの、と言った気がした。

「ワールドシリーズってのはリアルなんだ。ふざけるようなことはできない。旧い友人でもあるジョー・バック(シリーズ中継局の有名アナウンサー)とも話をしたよ。彼はとりあえず、ここ(開催地)に来るだけでも来てみて座ってみればどうだい? って言った。で、考えてはみたが、インディアンスのファンはカブスが勝てば私に対して怒るだろうし、逆になればカブス・ファンだって同じだろう」

 もちろん、人気コメディ映画の主演の1人としての「責任」も忘れていない。

「あの球場(インディアンスの本拠地プログレッシブ・フィールド)には彼らが『ハリー・ドイル(劇中のユッカーの役名)の夜』というイベントをやった時に行って、始球式をやったよ。楽しかったよ。映画の『メジャーリーグ』は楽しい経験だったが、それでもワールドシリーズでふざけることだけはしたくない。私にとってあそこは実況中継する正しい場所ではなかったんだ。映画は映画。ワールドシリーズはワールドシリーズなんだから」

 野球人たるもの――。

 英語なのに、そう言っているような感じがした。

「素晴らしい選手たちがここ(ミルウォーキー)にはいて、本当にいいチームがここにはある。誰1人として『俺』とは言わないし、あくまで『俺たち』なんだ。そして、彼らは私もその1人として扱ってくれている」

 連日の激戦が続くナ・リーグ優勝決定シリーズ。ブルワーズが勝っても負けても、その喜びと悲しみの真っ只中には、名物アナウンサーがいる――。

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ボブ・ユッカー

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