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シャンパンと落胆が交錯する季節。
ダルビッシュ有も苦さを噛み締めて。

posted2018/10/14 09:00

 
シャンパンと落胆が交錯する季節。ダルビッシュ有も苦さを噛み締めて。<Number Web> photograph by AFLO

リベンジを期したカブスに、あまりにも早いシーズンの終わりが訪れてしまった。

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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 今年もメジャーリーグに、シャンパンの季節がやって来た。

 一発勝負のワイルドカード・ゲーム、3戦先勝の地区シリーズ、4戦先勝の優勝決定シリーズ、そしてメジャーリーグの頂点を決めるワールドシリーズ。勝者のクラブハウスはシャンパンの甘い香りと笑顔に溢れ、幸福に満ちた時間が流れている。

 そして、この季節は同時に、数多くの敗者を生み出す。

 9月にはプレーオフに出られない20球団500人以上の選手たちが、10月には9球団225人以上の選手たちが、失望と落胆に暮れながらシーズンを終える。敗者の閑散としたクラブハウスは何とも言いようのない静寂に包まれ、空虚な雰囲気が漂うことになる。

 10月2日も同じだった。正確には3日の午前1時近くのことである。この日、シカゴ・カブスはワイルドカード・ゲームで、コロラド・ロッキーズに延長13回の激闘の末に1-2で敗れ、ナ・リーグ地区シリーズへ進出することなくシーズンを終えた。

「惨めな気分だよ」

 ポツリとそう言ったのは、最後の打者となったアルバート・アルモーラJr.外野手だった。

「俺たちはずっと勝ち続けていたのに、最後の最後にこういう結果になるなんて……」

「このチームはユウを失い……」

 敗者に笑顔などあるはずがない。他の選手たちも同じだ。試合前の活気に満ちた雰囲気は皆無で、神妙な表情だけが浮かんでいる。それでも彼らは、ポツリ、ポツリと姿を現し、まるでそれが彼らの「責任」であるかのようにメディアに囲まれ、毅然とした態度でテレビ・カメラやマイクの前に立ち続けた。

「このチームはケガでユウ(ダルビッシュ)を失い、(抑えのブランドン・)モロウを失い、さらに(セットアッパーのペドロ・)ストロップまで失ったんだ。大勢の選手を失う中、それでも彼(ジョー・マドン監督)が一生懸命やり繰りして、何とか勝つ道を探し出した」

 選手たちのようには敗戦を受け入れられないメディアやファンの気持ちを、一番代弁していたのは先発投手陣の一角を占めるカイル・ヘンドリクスだったかも知れない。

「まったく期待してなかった結果だから、おかしな気分だよ。他の選手もどうしたらいいのか分からないから、まだ、ここ(球場)にいるんだろうね」

【次ページ】 カブスの球団史に残る惨めな日々。

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