リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
メッシ「シャビを思い出すよ」。
バルサの新しい王様アルトゥール。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto press
posted2018/10/17 10:00
イニエスタの背番号8を継承したアルトゥール。クラブの期待度の大きさを感じさせる。
シャビ&イニエスタに憧れて。
攻撃をも司っていたアルトゥールだが、専門はいわゆる「組み立て」であり、ゴールに直結するプレーは少なかった。'17年のグレミオでの得点とアシストは、公式戦50試合に出場しながら、それぞれたったの2つだ。一方でパスの数はずば抜けて多く、ベストイレブンにも選ばれた同年のブラジル・セリエAでは27試合で1962本を記録している。
まるで、シャビやイニエスタである。
実際、グレミオの先輩でもあるロナウジーニョが入団した頃からバルサに注目し始めたアルトゥールは、彼ら2人を鑑としてきたという。
「インターネットでバルサの試合を探し、2人のプレーをずっと追いかけていた。パスを出すために何をしているのか。パスを出すタイミングをどう計っているのか。どちらにおいてもあの2人は最高だ」
特に憧れのイニエスタからは多くを学んだことを明かしている。
「彼の賢い選択、それからボールを受けた瞬間のターンに夢中だった。家で練習してたんだ。壁に向かってボールを蹴って、戻ってきたところでイニエスタのターンだ」
「大好きなバルサに即断した」
そんなアルトゥールに導かれた'17年のグレミオはリベルタドーレス杯を勝ち進んだ。
中盤に君臨する若き王は当然ヨーロッパのビッグクラブの関心の的となり、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシー、ユベントス、インテル、アトレティコ、そしてバルサが「狙っている」と報じられた。獲得競争は熾烈なものになると思われた。
ところが勝者はあっさり決まってしまう。
11月末に行われたリベルタドーレス杯決勝戦にバルサの当時の強化担当ロベルト・フェルナンデスが自ら足を運び、そのままアルトゥール側に接触したことが決め手となった。
「即断したよ。バルサは大好きなクラブで、いつかあのチームの一員になりたいと思っていたから」