リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
メッシ「シャビを思い出すよ」。
バルサの新しい王様アルトゥール。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto press
posted2018/10/17 10:00
イニエスタの背番号8を継承したアルトゥール。クラブの期待度の大きさを感じさせる。
移籍時期が早まったのも幸運。
グレミオのBチームからトップチームに上がり、エースとなり、リベルタドーレス杯を制し、負傷で途中退場しながら決勝戦のMVPに選ばれ、最後に待っていたのはバルサからのオファー。アルトゥールにとって夢のような1年だったのは間違いない。
その後も彼は幸運に恵まれた。
移籍の時期について、当初バルサとグレミオはブラジルのシーズンに合わせた'19年1月で合意していた。それをバルサが'18年7月に変更したのだ。
おかげで体力管理や試合感などに関して、チームメイトと足並みをそろえることができた。ポジショナルサッカーの仕組みをじっくり学ぶ時間ができた。バルサのパス回しのリズムやボールを動かすスピードに遅延なく順応することができた。
満を持して出場した先のCLトッテナム戦直後、バルサのカンテラ出身のマルク・クロサスはこうツイートしている。
「バルサにとって今夜の朗報はウェンブリーで勝ったことでもバルベルデ期最高のひとつに数えられる試合内容でもない。メッシとブスケッツが同じサッカー観を持つ新しいパートナーを見つけたこと。アルトゥールだ」
メッシは「シャビを思い出す」。
当のメッシも彼を称えていた。
「今季の新加入組はみんな巧いけれど、アルトゥールには驚かされている。プレーが確実で信頼できる。シャビを思い出すよ」
続くリーガのバレンシア戦にもアルトゥールは先発し、88分にラフィーニャと交代した。その間ボールを失ったのはたったの7回。出したパスは、'12年のレバンテ戦でシャビが作った「ビジターチームの選手による最多パス記録」まであと6本に迫る142本。
バルサがずっと探していたシャビやイニエスタの後継者は、カンテラではなくブラジルからやってきた。