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村田諒太、防衛戦へ「ナチュラル」。
ラスベガスの喧騒と本人の静謐さ。
posted2018/10/19 16:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Toshio Ninomiya
ラスベガスのネオンサインが村田諒太をまばゆく映し出している。
ストリップ通りの中心部には「MURATA×BRANT」の開催を告知する大きな電子看板が数カ所、現れている。ボクシングの聖地が、日本からやってくるミドル級チャンプを歓迎するように。
20日(日本時間21日)新リゾートのパークMGMに併設されたパークシアターにて、WBA世界ミドル級3位ロブ・ブラント(アメリカ)の挑戦を受ける。村田にとってラスベガスでの試合は3度目になるが、王者としてメーンイベントを務めるのは初めてだ。プロデビューしてからは、何度も合宿を張ってきた思い出の地。彼はここに来るたびに、大いなる野望を胸に誓ってきた。
記事になるリップサービスはなし。
数時間前、試合会場では出場選手が顔をそろえての記者会見が行われた。
さぞ胸いっぱいの高揚感が伝わってくるかと思いきや、村田はその欠片すら見せなかった。
「この機会をいただいたことに感謝します。(対戦する)ブラントにも感謝しています」
「非常にいいトレーニングが積めているので、練習したことを出せればその結果はいいものになると信じています」
ニュース記事におどるようなリップサービスのような類は一切なし。女性司会者から今後のビッグマッチについて水を向けられても表情は変わらなかった。
「この試合に集中する。結果ですべてが変わると思うので、先のことは考えていない」
写真撮影の際にはブラントがフェイスオフを誘ってきたが、村田は応じることもなくツーショットを手短に切り上げた。
会見後の囲み取材では笑みをこぼすなどリラックスはしている。疲労感でもなく、緊張でもない。村田は言った。
「落ち着いてこの感じで試合に臨めればいいかなとは思っています、試合になったら熱くなっていくだけですから。あんまりいろいろ考えてもしょうがないんで、このナチュラルな感じでいければいいかなと」