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近づくファジーカス完全復活の日。
脅威の“オンザコート3”はいつ?
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byB.LEAGUE
posted2018/10/17 07:00
川崎の開幕からの連勝は3でストップしたが、その試合でファジーカスは16得点8リバウンドと活躍した。
最大15点差をひっくり返しての勝利。
「昨シーズン、ファンの皆さんの応援の声がシーズン中にどんどん大きくなっていて、無音の状態を楽しむお客さんが多かったのを私も観戦していて感じたので、その時間は必ず作ろうと思っていました」
それだけの盛り上がりが生まれたのは観客数の多さだけが理由ではなく、肝心の試合が見応えのある展開になったことも一因だ。
この日、チームは滋賀レイクスターズを相手に第1クォーターでわずか6得点しか奪えず、いきなり15点もの大量ビハインドを背負うが、若手のホープ林翔太郎の3ポイントを皮切りに猛反撃に転じ、第2クォーターにすかさず逆転。
その後は一進一退の攻防を繰り広げながらも、最後は突き放して76-64で勝利。クラブとして生まれ変わった記念すべきホーム開幕戦を飾り、幸先の良いスタートを切った。
ファジーカスの復帰にアリーナは大歓声。
12得点をマークした林の活躍がチームに火をつけたことは間違いない。しかし、この試合にはもう1つ大きなトピックがあったことも忘れてはならない。
開幕節の千葉戦を2試合とも欠場した大黒柱ニック・ファジーカスの復帰だ。北卓也ヘッドコーチに呼ばれてベンチから立ち上がった時、アリーナは復帰を待ちわびたファンの大歓声に包まれた。
昨シーズン中に日本国籍を取得し、オフの間には日本代表にも名を連ねたファジーカスは、リーグのオンザコートルール変更によって外国籍選手2名と同時にコートに立つことができる。つまり実質的に“オンザコート3”の状態を作ることが可能となり、対戦相手に帰化選手がいない場合は大きなアドバンテージとなる。
開幕節の千葉戦でバーノン・マクリンとシェーン・エドワーズが高いポテンシャルを垣間見せたことを考えると、昨シーズンは1試合平均得点でランキング2位、一昨シーズンは1位という絶対的得点源であるファジーカスの復帰は、川崎にとっては何よりも心強い。
まだ100%のコンディションに戻っていないことを考慮した北ヘッドコーチの判断で、この試合のファジーカスはベンチスタート。しかし、前述の通りチームは滋賀に圧されてスタートダッシュに失敗。タイムアウトを取っても立て直すことができず、第1クォーター残り3分30秒でファジーカスを投入する。
結局第1クォーターは滋賀の勢いを止められないまま6-21と大差をつけられたが、第2クォーターに入ると林の3ポイントに続いてファジーカスも今シーズン初得点となるフックシュートを決め、チームを勢いづける。残り2分32秒に逆転に成功した川崎は、その後一度は再逆転を許したものの慌てることなくリードを奪い返して白星をつかんだ。