イチ流に触れてBACK NUMBER
イチロー、来季現役復帰への自信。
「それは言うまでもないです」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2018/10/08 17:00
最終戦でレンジャーズに勝利し、喜びの表情を見せるイチロー会長付き特別補佐。来季、選手としての再契約はあるか?
毎日クタクタで帰る目標を完遂。
さて、会長付き特別補佐となって133試合。特殊なシーズンを終えたイチローは今季を振り返り、この言葉を残した。
「出来ることは全部やったので、そこそこ疲れています。はい(笑)。ちょっと休みたいかな、うん」
ヤンキースに在籍した'13年、150試合の出場に終わったイチローはシーズン最終戦後に「もう1周やりたいです。もう1ラウンド、162試合」と、悔しさを表した。そんな選手が今季は5月2日を最後にプレーが出来なくなった。
出場わずか15試合、44打数9安打、打率.205。それでも「疲れた。休みたい」と言った。そこには一切の妥協がない、イチローらしい日課があった。
「それは日々、毎日の目標がそこですから。帰るときにクタクタで帰るというのはその日の目標でしたから。そこだけを見れば、完遂したということになるでしょうね」
試合前、試合中もトレーニング。
試合前の初動負荷マシンのトレーニングに始まり、チームメイトのフリー打撃時には外野でボールを追い続けた。自身のフリー打撃では本塁打を連発し変わらぬ姿を示し続けた。
試合中も初動負荷マシンのトレーニングを続け、合間にケージ打撃でボールを打ち続けた。会長付き特別補佐といえど、イチローがただ椅子に座っている時間はまったくなかった。来る日も来る日もこの作業の繰り返し。強い精神力なくして出来ることではない。
見据える先にあるものは今さらいうまでもない。イチローは己を信じ、練習しか出来ない孤独な日々を孤高の精神力で過ごし通した。彼は仲間のおかげだと言った。
「周り次第でしたから。僕がやると決めたことを最後までやることは、やれる自信はあったので、問題は周りでしたからね。それを受け入れてくれるか、どうかです。そういうチームメイトだったので、チームメイトだけじゃないですけど、それは助かりました」