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「カープの歴史に名を残すチーム」
マエケンが語る3連覇とプレーオフ。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byNanae Suzuki
posted2018/10/05 16:30
前田健太もカープのセ・リーグ3連覇を喜んでいる。カープが日本一、前田がワールドチャンピオンを達成となれば、広島はさらに沸くだろう。
「カープの歴史に名を残すチーム」
その前田にとって古巣になる広島カープがセ・リーグ3連覇を果たしたのは、日本時間の25日のことだった。
「いや、本当にすごいと思う」
最初に「いや」と言ったのは、こちらが畏まって「毎年、同じ質問をして申し訳ないのですが…」と切り出したからだろう。古巣の仲間を思ってか、その視線はとても優しかった。
「僕がいた頃も、菊池とか丸とかいい選手は揃っていたけど、そういう選手が成長して、今はもっと若手とベテランのバランスが取れていると思う」
そこで前田は、とても懐かしい名前を口にした。
「若い頃、よく北別府さんとかがいた時代は凄かったって聞いてましたけど、今のチームも同じような感じなんだと思います。間違いなく、これからのカープの歴史に名を残すチームでしょうね」
アリゾナで北別府と聞くとは。
北別府さん……北別府学(現私立英数学館高校野球部の非常勤コーチ)。
前田の取材をしたのは9月下旬のアリゾナ州フェニックスである。晩夏でも日中の気温が軽く35度を超えてしまう砂漠の町で、まさか、その名を聞くことになるとは思いもしなかった。
北別府氏は、1982年と1986年の2度に渡って沢村賞を獲得したカープの名投手だ。1986年にはリーグ最多18勝を挙げて、その内の17試合に完投(4完封)するなどして、セ・リーグの最優秀選手賞も同時受賞している。
当時のカープも確かに強かった。
1975年に「赤ヘル」ブームでセ・リーグ初優勝。1979年から日本シリーズ連覇を達成したカープは、北別府氏がデビューした1976年から引退する1994年までの間に通算5度のリーグ優勝を果たし、その内、3度も日本一になっている(1979年、1980年、1984年)。