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「カープの歴史に名を残すチーム」
マエケンが語る3連覇とプレーオフ。
posted2018/10/05 16:30
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Nanae Suzuki
アリゾナ・ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドのビジターチーム用トレーニングルームは、とても小さい。昨今、流行りの極太のロープを使ったトレーニングや重いメディシン・ボールを使った体幹トレーニングをやるスペースはなく、そこを訪れた選手たちは仕方なく、メディアや施設関係者が通る廊下に出てトレーニングをすることになる。
9月26日の午後も同じだった。左腕クレイトン・カーショウがロープを波打たせる。壁に上腕を付けて小刻みに動かしながら、インナーマッスルを鍛えている。サイヤング賞を通算3度、ナ・リーグ最優秀選手賞を獲得している現役屈指の投手が、メディアに見られるのを覚悟で廊下に繰り出して練習している姿は、少し同情に値する。
そのすぐ横で「バシンッ! バシンッ!」と音をさせてメディシン・ボールを壁に投げつけているのが、前田健太だった。袖のないシャツを着ている。むき出しになった二の腕がパンプアップされて逞しい。いや、違う。数カ月ぶりに取材したせいか、身体全体がどこか、大きくなったように見える。
メジャーリーガーっぽい質感に。
「太っただけじゃないですかね」
と言いながら、前田は笑った。どこか真面目な感じもある。
「基本的に体重とかはあまり変わらないんですけど、一時期ちょっと、腹が出てきてヤバいかな? と思った時期もありましたから」
そう言えば、キャンプの時、彼は「毎年、トレーニングで身体は大きくなっていると思うし、それに比例して球も速くなってると思う」と言っていた。
確かに広島時代のほっそりとした印象はなくなり、見た目の質感がかなりメジャーリーガーっぽくなった。去年、チーム事情でリリーフに転向したことも影響しているようだが、今年は先発でも試合序盤から時速94マイル(約151キロ)の速球をどんどん投げ込んでいる。