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大池水杜は自転車で雄大に跳ぶ。
日本女子で唯一W杯に参戦し初優勝!
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2018/10/02 08:00
UCI(国際自転車競技連合)のBMXフリースタイル・パークの国際ランキングでは現在3位の大池水杜。
出場枠を増やすには世界1位になるしかない。
東京五輪の出場枠はどのように決まるのか。出口監督によると、東京五輪出場枠は国別ランキングで決まる。出場人数は男女各9人ずつという狭き門。
国別ランキングの上位8カ国・地域に1枠ずつが振り分けられることになっており、また、日本は既に開催国枠として男女1枠ずつを確保済みだ。日本が男女各2枠目を獲得するには国別ランキング1位になる必要がある。
なお、東京五輪の出場枠を決めるための国別ランキングの対象となるのは今年11月から'20年5月までに開催されるW杯7戦で、その中の上位3大会のポイントの合計で順位が決まる。
現在、日本男子は16歳のエース中村輪夢(ウイングアーク1st)が世界ランク8位につけており、中村以外にもJFBF強化指定選手である大霜優馬(第一学院高校甲府キャンパス)が同57位、大西勘弥(MXインターナショナル)が同58位、高木聖雄(JFBF)が同59位など、10人近くのライダーがW杯に参戦している。
女子のW杯参戦選手は大池1人だけ。
一方で女子は日本からのW杯参戦は大池ただ1人。出口監督は「女子で2番手の選手が出てくれば国別ランキングで日本が1位になる可能性がある」と競技人口の拡大に期待を寄せている。
世界の強豪としては、男子は昨年の第1回世界選手権で優勝したローガン・マーティン(オーストラリア)の実力が頭一つ抜き出ているという。
「マーティンはまるでロボットのよう。1分間の試合の中で、普通の選手は50秒くらいでほぼ息が上がってしまうが、マーティンはフルの技を2、3分続けられる」(出口監督)
女子は男子と比べてまだまだ国際舞台を渡り歩くライダーの人数が少ないが、大池も含めたトップの争いは年々熾烈になっている。
出口監督によると、大池の長所は「身長が高いこと。高難度というわけではないが、すべてのジャンプにトリックを入れられること。そして、ライン取りが世界でもズバ抜けているところです」
出口監督が言う通り、身長169センチの体を活かして跳ぶ「ノーハンド」はとても雄大だ。しかも、「少しでも大きく見せるため指先まで意識して広げて跳ぶ」ことによって、男子顔負けのダイナミックなトリックになる。