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大谷翔平の復帰登板と“自制心”。
イチロー、野茂、黒田からの教訓。
posted2018/09/11 08:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
右肘の靭帯に新たな損傷が見つかったのは復帰登板から3日後の9月5日のことだった。医師団からはトミー・ジョン手術(靭帯再建手術)の勧告を初めて受けた。手術を受けるのか、回避するのか。最終判断を下すの自分自身だと、大谷翔平は言った。
手術を受ければ、投手としての復帰には術後12~18カ月を要する。'19年シーズンの登板は絶望的となり、復帰は'20年開幕からになる。一方で野手としては6~8カ月での復帰が可能になる。
DH専任である大谷の場合、スローイング・プログラムのリハビリが省かれるため、5カ月未満での復帰が可能となる。仮にシーズン終了後に手術を受けたとしても、来季開幕には間に合う。この事実が、打者としてシーズン終了までプレーを続ける判断に至った一つの要因であろう。24歳は最終的にどんな判断を下すのであろうか。
手術を受けない可能性も。
大方の予想はシーズン終了後にトミー・ジョン手術を受けると言うもの。将来を考えれば早い方がいいと言う意見だ。だが、手術を受けない可能性もまだ捨てきれない。
三たび、PRP(多血小板血しょう)注射を受け、組織の再生をはかる。筆者自身、手術を受ける決断に至る可能性の方が高いとは思うものの、大谷が“やり直し”を希望するのではないか。
彼が発した言葉にその端緒はある。
「そんなに力を入れる必要はなかったんですけど、やっぱり人が入っていて、上の舞台で投げるというところで勝手に出力があがってしまうところがあったのかなと思う」
88日ぶりの復帰登板を果たした2日のアストロズ戦後の彼の言葉だ。
“全力投球は『自制』し、肘への負担を考慮しながら投げるつもりだった”
こう言っているように聞こえた。