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天才数学者を魅了するローマの
4-3-3、スクデットの確率は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/09/05 16:30
昨季はCLでバルセロナを破って準決勝進出。リーグも勝点77の3位。ここ5年連続でセリエA3位以内をキープしている。
敏腕モンチが求めた肉体サイズ。
ただし、指揮官ディフランチェスコはまだ今季の最適解を見つけられていない。
昨季のローマはセリエAで3位、CLでベスト4進出と実りあるシーズンを送った。
当然、今季目指す目標はもっと上だ。指揮官はキャンプ始動日に「スクデットの有力候補はユベントスだろう。だが、ローマもいることを忘れてもらっては困るな」と抱負を語った。
夏の移籍市場ではモンチSDと「現代サッカーは肉体サイズの戦い」と補強コンセプトを互いに確認した。重視したのは、技術志向であることを前提にしつつ、新チームに“センチメートルとキログラム”を上乗せすることだ。
UEFAファイナンシャル・フェアプレー規定をクリアするために、主力だったMFナインゴラン(インテル)やGKアリソン、MFストロートマン(マルセイユ)の放出は避けられなかったが、代わりに前述の4人やMFクリスタンテ(前アタランタ)ら即戦力級が多く加入した。
平均身長185cmの大型化と葛藤。
ボリュームを増した今季のローマには、198cmの新守護神オルセンを筆頭に185cm以上が17人も揃う。全体の平均身長も昨季から約2cm伸びて185cmになり、チームはひと回り大型化した。
指揮官ディフランチェスコの試行錯誤はここから始まっている。
攻撃志向の彼が本来こだわる「4-3-3」をボリュームアップした今季のチーム全体に習得させ直すには、実戦をこなしながらメカニズムを体に染み込ませていくしかないから、まだしばらく時間がかかる。
1-3で折り返したアタランタ戦の後半、反撃に転じようとした指揮官はエンゾンジをボランチに置く「4-2-3-1」に切り替え、試合終盤には超攻撃的「3-3-4」も試した。ミラン戦では迷った末に「3-4-3」を導入したが案の定機能せず、後半から再び4バックに戻している。