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「栄さんの時は逃げなかったのに」
女子レスリング、アジア大会の裏側。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKoji Fuse
posted2018/08/27 17:00
昨年の63kg級世界王者オーコン・プレブドルジ(モンゴル)に負けた直後の川井梨紗子。
以前は最後まで攻めていた選手が守りに!?
今まで守らなかったタイプの選手も守り始めたことも気になった。
53kg級の奥野春菜(至学館大)はパク・ヨンミ(北朝鮮)との準決勝で1点をリードすると一進一退の攻防を繰り広げたが、残り時間3秒というところで場外ポイントをとられてしまい手痛い敗北を喫した。
試合後、試合終了間際に1点差リードで迎えた時の心境を訊かれると奥野は答えた。
「あの時攻めるか守るかと聞かれたら、100%守ろうと思ってしまいました」
奥野の試合ぶりに西口氏の目は厳しかった。
「以前の奥野選手はラスト1秒まで攻めていたけど、今回は1点リードになったら完璧に守りに入っていた」
「サポート面はまだまだ足りないが」
今年4月、一連のパワハラ騒動を受け、女子レスリングの指導者の象徴だった栄和人強化本部長(当時)が辞任。女子レスリングは新体制で国際大会に臨まなければならなかった。
栄氏がいなくなった影響はあったのかと訊かれると西口氏は、自分はまだ栄さんの域に行っていないと前置きしながらも、前向きに答えてくれた。
「サポート面はまだまだ足りないと思うけど、足りないと言い訳する必要はない。これからどんどん足していきます」