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OBが認める「読売クラブ」らしさ。
U-21渡辺皓太が見据える東京五輪。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/08/24 11:00
小柄ながら俊敏なプレーで相手を翻弄する。日本らしい中盤アタッカーとして渡辺皓太はどんな成長曲線を見せるか。
常に消えることなく絡みたい。
渡辺は自身の現在地についてこう語った。
「試合ごとにポイント、ポイントではいいプレーができたかもしれませんが、90分を通して目立ち、違いを見せられないと。僕がなりたいのは、誰が見てもあいつがチームの中心だと思われる選手。常に消えることなくゲームに絡める選手です」
今季リーグ戦、第28節時点で2得点9アシスト。アジア大会に招集されるまで開幕から全試合スタメン出場を継続したのが、ロティーナ監督の評価の表れだ。最近はチャンスメイクでの貢献度を飛躍的に高めつつある。
「僕は全部できるようになりたい。ディフェンスをしてボールを奪い、ゲームをつくり、ラストパスやシュートといった仕上げの仕事にも関わる。高いパフォーマンスをコンスタントに、当たり前のようにできなければダメです」
いまに始まった話ではないが、渡辺の取材を通じて目標と現在地の確認作業をしているとき、私はかみ合わないなあという思いに駆られる。話すたびに目指すポイントがどんどん上書きされている印象だ。このギャップは埋まる気がしない。
朴訥としたままの成長株。
そこで、冨樫の言葉を思い出した。
「あいつはジュニアの頃から同学年とはほとんどやってないんです。年齢が上のチームに放り込まれ、相手のレベル、味方のレベルに合わせて能力を上げてきた。その場の環境に適応し、自分の能力を引き上げられるのが最大の取り柄とも言えますね。持っている力からすれば、今季の出来はまだまだ納得いくものではない。ゴールが少ないよ」
冨樫の見立てを渡辺に伝えると、「はい、そのとおりです。決められるチャンスはいくつもあったので」と笑った。想像をはるかに超える成長スピードで進化していく一方、朴訥とした人柄は変わらない。
U-21日本代表が先に見据えるのは2020年の東京五輪だ。渡辺よ、東京の輝く星となれ――。ハードルの高さはこのぐらいに設定したほうがちょうどいいと思われる。