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ピンチにも動じない堂々のマウンド。
西武の新人・齊藤大将の心の整え方。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/08/23 10:30
7月29日のロッテ戦に2番手で登場した齊藤は、好救援を見せ、プロ初勝利。試合後は辻監督の祝福を受けた。
「もともと高い能力を持つ投手」
杉山賢人二軍・投手コーチは振り返る。
「コントロールに不安があって二軍に来たんですが、どうやって調整しようか話をする中で、彼の場合は先発よりも毎日、試合に登板してその中で修正するほうがいいのではないかという結論に達しました。
もともと高い能力を持っている投手ですが、当時はフォームの動作1つ1つがかみ合っていない印象でしたね。
いいボールもあったのに、彼自身の理想が高く、完璧主義者。それほど悪い状態ではなくても悩んでしまう性格なんだと思います。
裏を返せば、レベルの高いところで野球を考えられる選手です。おそらく高校(桐蔭学園)、大学とレベルの高い場所でプレーしてきたからだと思いますね」
やっと“普通に投げる”ことが……。
齊藤は語る。
「オープン戦のころはキャッチボールのときから球もよくなかったし、球を投げるレベルに達していなかったと思います。
プロの世界は、高いレベルであることは予想していたし、しっかり自分の力を出して投げれば抑えられる自信もそれなりにありました。ただ、自分自身が普通に投げることができていなかった。今は、その“普通に投げる”ことができるようになったのが大きいです」
7月20日に一軍昇格したあとは、得意のスライダーと直球を武器に貴重な中継ぎとして活躍している。
「自分のピッチングの軸ですか? うーん、大学まではスライダーと言っていたんですけど、今はプロとしてスタートしたばかりなので、軸になるものが何かまだわからないですね。
とにかく今、心掛けているのはストライクを先行して自分が優位な立場に立つことです。
これから登板回数を重ねるごとに、自分のスタイルを見つけていけたらいいなと思います」