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ピンチにも動じない堂々のマウンド。
西武の新人・齊藤大将の心の整え方。
posted2018/08/23 10:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
NIKKAN SPORTS
「いや、別に。普通に投げていただけなんで特別な感情はなかったです」
意志の強そうな瞳がキラリと輝く。プロ入り初、味方がリードした場面で登板した際に感想を聞いても、その落ち着いた口調は全く変わらない。
齊藤大将は今シーズン、ドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団したルーキーである。
7月に初の一軍登板を果たし、現在はリードしている場面や、僅差でリードを許している重要な局面でマウンドに向かう。左スリークウォーターから繰り出されるストレートは威力があり、左打者へのワンポイント起用だけではなく、右打者のインコースを突くボールも有効で、現在はサウスポーながら右打者を1割台に抑えている(8月20日現在)。
何よりの武器はそのマウンド度胸だろう。
「勝っている試合でも、リードを許している試合でも気持ちは変わりません。前回登板より点差が近いとか、そういった試合の状況の違いはあっても、今、任せていただいている役割に関しては変わらないので、そんなに意識はしないです」
キャンプは一軍スタートだったが……。
大学時代は強豪、明治大で1年生からベンチ入りを勝ち取り、リリーフに、先発にと様々な場面で活躍してきた。
プロとして初めて迎えた春季キャンプは一軍でスタートした。しかし一軍に帯同したオープン戦で打ちこまれ、3月、二軍に降格した。
「まずは気持ちを切り替えることを最優先しました。ゼロからやり直すイメージでした。ここだけを修正すればいいとか、この練習をすればピッチング全体がよくなるという状況ではなかったので、本当に、全部やり直しました」(齊藤)