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ウッズの存在感が際立った2018年。
メジャー2度の優勝争いに加えて……。
posted2018/08/21 11:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
今年のメジャー4大会がすべて終わり、米ツアーはシーズンエンドのプレーオフ4試合へ突入しようとしている。
振り返れば、今年のメジャー大会はどれもストーリー性に溢れ、人々の記憶に残るであろうドラマがたくさんあった。
シーズン最初のメジャー、マスターズでは、北アイルランドのローリー・マキロイの生涯グランドスラム、あるいはアメリカの国民的スターであるリッキー・ファウラーのメジャー初優勝への期待が高まる中、その期待を打ち破る格好で単独首位に立ったパトリック・リードに中傷的な声が多々上がり、ずいぶんと驚かされた。
子供のころからタイガー・ウッズに憧れ、ウッズのサンデー・レッドシャツを真似て、ジュニア時代から試合の最終日には必ず赤いシャツを着てきたリード。
だが、高校大学時代から素行に関するさまざまな嫌疑をかけられ、プロ転向後もグレーな噂が付いて回った。そして、根も葉もないそんな話を、よりによってマスターズの優勝争いの真っ只中でわざわざ持ち出したごく一部の米メディアの意図的な行為には言葉を失いそうになった。
マキロイへの歓声は闘志に変わった。
だが、そのせいで大勢の人々から向けられてしまった冷たい視線を、リードは堂々と跳ね飛ばし、自分のゴルフに集中した。
最終日の朝。「すべての報道は僕ではなくマキロイの優勝を願っていた」と感じ取ったリード。1番ティでギャラリーがマキロイに送った拍手と歓声は、リードに対するものとは比べものにならないほど大きかった。
「それが僕の闘志を燃え上がらせた」
リードが誰よりも素晴らしいゴルフを披露し、誰よりも少ないスコアで4日間を戦い抜いたことは紛れもない事実。逆境をくぐり抜け、グリーンジャケットを羽織ったリードは、たとえ誰が何と言おうと立派なマスターズチャンピオン。「堂々と胸を張れ」――そんな一言を祝福の拍手に添えて送った。