ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
ゴルフは個人競技か、チーム競技か。
選手間の情報共有が最強の練習法?
posted2018/08/19 08:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
残暑は厳しくとも、暦の上では季節の変わり目に違いない。
8月の全米プロの閉幕は、男子ゴルフのメジャーシーズンの終わりを意味する。4月のマスターズで始まる4大メジャーの最終戦。ベルリーブCCで行われた今年は、役者が揃ったリーダーボードをブルックス・ケプカが勝ち抜き、6月の全米オープンと合わせてメジャー年間2勝を飾った。
カムバックを絶望視する声もあったタイガー・ウッズが、3週前の全英オープンに続いて優勝争いに加わった。確かな希望を見出したのは本人だけではないはず。そして彼が年を重ねても、特別な存在であることを誰もが再確認した。
そして2018年は、多くの日本勢がこの舞台に挑戦した年でもあった。
マスターズ、全米オープンに4人ずつ。全英オープンには10人、全米プロも6人が出場した。4大会すべてに参戦した松山英樹と小平智を含め、のべ人数は24人。これは'02年に並び最多だった。
メジャーへの出場チケットが、国内ツアーに多く配分されるようになったわけではない。「日本ツアーの賞金王が翌年のマスターズに招待される」という“慣例”が近年なくなったことを考えれば、枠は減っているともいえる。
今年に関して言うと、全米オープンおよび全英オープンにつながる日本国内での“予選”において、例年よりも外国人選手にスポットを譲らなかったことが大きい。
日本ゴルフが一段上に行くために必要なもの。
一方で、各メジャーでタイトル争いに加わる日本勢はいなかった。最高位は全米オープンでの松山の16位。予選ラウンドを通過しても、決勝2日間でまた次のレベルの失望感を味わう。彼らからはそんな悔しさが多く伝わってきた。
このジレンマを打ち破る術は、技術や体力の向上だけにあるのだろうか。
アスリートが持つ能力を最大限引き出すためには「情報」が欠かせない。多くの日本人にとってメジャーはすべて異国で行われるのだから、その情報戦において彼らは最初からハンデを負っている。