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ウッズの存在感が際立った2018年。
メジャー2度の優勝争いに加えて……。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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posted2018/08/21 11:30

ウッズの存在感が際立った2018年。メジャー2度の優勝争いに加えて……。<Number Web> photograph by AFLO

タイガー・ウッズがここまでの復活を果たすとどれほどの人が信じていただろうか。

全米OPではミケルソンの驚きの反則が。

 6月の全米オープンでも、驚かされる出来事が次々に起こった。戦いの舞台となったシネコックヒルズは、大会主催者であるUSGA(全米ゴルフ協会)の予想をはるかに上回る異常な日照りと強風でカチカチに干上がり、3日目のグリーンはほとんどプレー不能に近い状態になった。

 そんな中、フィル・ミケルソンがグリーン上を転がっていたボールを意図的にパターで打ち返すという前代未聞の珍事が起こった。

 動いているボールを打つのは、言うまでもなくルール違反で2罰打が科せられる。だが、ミケルソンは「右往左往するより、あえて2罰打を選んだ」とルールの活用を主張。すると、世間からは「それはゴルフとゴルフルールに対する冒とくだ」等々、激しい批判の声が上がり、後日、ミケルソンが謝罪するという顛末になった。

 大自然の悪戯に翻弄され、大会も大勢の選手や関係者もてんやわんやの大騒動。だが、そうした周囲の喧騒をものともせず、穏やかに黙々と戦い続け、全米オープン2連覇を成し遂げたブルックス・ケプカの静かな勝ち方は実に印象的だった。

ウッズとの競り合いを制したモリナリ。

 その翌月。全英オープンを制し、イタリア人として初の大会制覇、メジャー制覇を成し遂げたフランチェスコ・モリナリの勝ち方も、やはり穏やかで静かだった。

 2008年以来のメジャー優勝と2013年以来の復活優勝を狙うタイガー・ウッズと同組で最終日をプレーしたモリナリ。一時はウッズが単独首位に立ち、カーヌスティのギャラリーの興奮は最高潮に達したが、モリナリは終始、自分のゴルフに徹し、見事に勝利を手に入れた。

 モリナリは1995年の全英オープンで母国のヒーローだったコンスタンチノ・ロッカがジョン・デーリーとのプレーオフを戦い、惜敗した姿を脳裏に焼き付け、「いつか母国の国旗を世界の舞台に掲げてみせる」と念じながら、以後23年間、黙々と歩んできた。

 折りしも、その'95年大会はウッズがアマチュアとして初出場した全英オープンだった。以後、ウッズが歩んだ23年とモリナリが歩んだ23年には、大きな隔たりがあったが、23年後の今年の全英オープンで、そんな2人が競い合い、陽が当たらなかったモリナリが勝利したことに、何か運命的な不思議な力を感じずにはいられなかった。

【次ページ】 全米プロでケプカが同年での2冠を達成。

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