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「10点取られても打ち合いなら」
折尾愛真の想定を越えた日大三打線。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKyodo News
posted2018/08/10 17:45
10点取られても11点取ればいい、それもまた野球の真実である。折尾愛真の真っ向勝負はクールだった。
「自分たちがやりたい野球をやられた」
その野元は試合前、「甲子園では3本はホームランを打ちたい」と意気込んでいたが、2三振を含む4打数無安打に終わった。
「自分たちがやりたい野球を相手にやられてしまいました。日大三は7点取ったあとも、まだつないできた。普通、1イニングで大量得点したら、早打ちになったりするもんなんですけど、常に点を取りにくる雰囲気があった。そこが怖かった。切れ目がなくて、守っていてもとてもつらかったです」
野元は3番手投手としてマウンドにも上がり、7回裏には、日大三の4番・大塚晃平にレフトへ本塁打を浴びた。
「ホームランを打たれたのは初めてなので、打たれたとき、ホームランかどうかも分からなかった。かち上げられた感じ。スイングの迫力が違いました」
折尾愛真の覚悟を6点越えてきた日大三。
折尾愛真のプロ注目の左のスラッガー、「3番・サード」の松井義弥は、日大三の右打者対策として、三塁ベースの5、6メートル後方に守っていた。それでも1回裏、日大三の主砲、3番・日置航の強烈な打球にグラブを弾かれ、内野安打にしてしまった。
「あそこで止められていれば、流れがかわっていたかもしれないんですけど……。打ち合いには自信あったんですけど、結果は、見た通りです」
3-16。
日大三打線は、折尾愛真の「覚悟」をさらに6点も越えてきた。