松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
「予選落ちすると思う」と言うが。
松山英樹のスランプと違う“難所”。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/08/06 11:40
ぐったりとイスに座り込んだ松山英樹。自分に課すハードルが高い彼だからこそ、その苦しみも深いのだろう。
「自信なく打っている」理由を探して。
なぜ、いいものを悪くしてしまうのか。原因はショットなのか、パットなのか、攻め方なのか。あるいは「自信なく打っている」「不安を感じながら打っていた」というメンタル面によるものなのか。
その答えを見つけようと松山は模索している。だが、答えはなかなか見つからず、教えてくれる人もいない。
「違和感を感じたら、そのまま悪いままで終わっちゃう。練習は続けているけど、いい方向に行かない。いろいろ考えてやっているけど、いい方向に行かない。何をしたらいいのか、わからない」
こんな弱気な言葉を松山英樹の口から聞いたのも、初めてだった。
「予選落ちする」という異例の発言。
それが、スランプというものなのかどうかは、わからない。いいショット、いいパットも打てるのだから、絶不調では決してないし、スランプとは少し違うのだと思う。
だが、それが多かれ少なかれ、遅かれ早かれ、誰もが必ず通る難所なのだとすれば、世界に挑み始めて6年目にして初めてその難所に差し掛かった松山は、何がどうであれ、そこを潜り抜けるしかない。
今季最後のメジャー、全米プロの会場へこの日のうちに早々に移動するという松山だが、しかし彼の心は止まってしまっているかのようで、全米プロに対する見通しもこんな具合だ。
「無理です。続かない。予選落ちすると思うので気楽にやりたい。36ホール完走できたらいいなと思う」
トーンは下がるばかりだった。
頑張っても頑張っても、それでも報われないことが続けば、そりゃあ嫌気もさすだろう。弱気にもなるだろう。だが、潜り抜けない限り、目指し続けているものに再び近づくことはない。今こそは、松山が迎えた最初の正念場。どうやって潜り抜けるか。それこそが松山の本当の強さの見せどころだ。