松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
「予選落ちすると思う」と言うが。
松山英樹のスランプと違う“難所”。
posted2018/08/06 11:40
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
「疲れました」
世界選手権シリーズのブリヂストン招待。4日間を戦い終えた松山英樹は肩を落としながら、力なく、そう言った。
昨年は見事に勝利を挙げ、眩しい笑顔を輝かせたオハイオ州アクロンのファイアストンGC。同じ場所で1年後に、これほど異なる彼の表情を見ることになるとは、あのときは想像すらしていなかった。
今年2月に左手親指の付け根あたりに激痛が走り、戦線離脱。特別な異常は見つからず、1カ月半ほどで松山は戦いの場に戻ってきたが、彼の以前の強気なゴルフは、いまだに戻ってきてはいない。
トップ10入りは1度もなく、先日は欧州ツアーのスコティッシュオープンでも、翌週の全英オープンでも予選落ちした。
そんな流れを好転させるべく、思い出深いブリヂストン招待にやってきた。初日は3アンダー67で回り、「久しぶりに、いいスタートが切れた」と、本当に久しぶりに明るい笑顔を見せた。
だが、2日目は72と崩れ、3日目も伸ばせず、最終日は序盤で最高のプレーを見せながら、6番のダブルボギーから崩れ落ちていった。
いいものを悪くしてしまう、という循環。
いいものを、自分で悪くしてしまう――そんな展開が、このところ、ずっと続いてしまっている。
最終日。松山の出だしは最高だった。パー5の2番では見事に2オンさせて、5メートルのイーグルパットを沈めた。3番では1メートル半をきっちり沈め、5番(パー3)では3メートルにきっちり付けて、これもきっちり沈めた。
いいショット、いいパットは、間違いなく打てていた。だからこそ、出だしの5ホールで4つもスコアを伸ばし、松山自身、「行けるかなと思った」。
だが、6番のティショットを大きく左に曲げると、次打はほぼ横に出すだけ。そこまでは「仕方ない」状況だった。だが、3打目はグリーン左のバンカーにつかまり、2.5メートルのボギーパットも外し、あれよあれよという間にダブルボギー。そこから先は、8番、10番、13番、14番。ボギーばかりを喫した。