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全米プロ好発進、ファウラーの心。
親友の死を悲しむより人生を祝福。
posted2018/08/10 12:20
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
アメリカ人だからストレートなのか。それとも、米メディアが意地悪なのか。あるいは、それこそがメディアのあるべき姿というものなのか。
今季最後のメジャー大会、全米プロ初日を5アンダー65で回り、ホールアウト時点で単独首位に立ったリッキー・ファウラーが会見場にやってくると、米メディアたちは「グッドラウンド」と褒めたたえるかわりに辛辣な質問を次々に投げかけた。
「メジャーでは惜敗ばかりが続いているけど、今回こそは勝てそうかい?」
「フィル・ミケルソンやベン・クレンショーがメジャーで何試合ぐらい勝てなかったかをキミも意識しているかい? そういう前例はキミに希望をもたらしてくれるかい?」
ファウラーは米ツアー通算4勝を挙げている実力者。世界ランキング9位のトッププレーヤーでもある。だがメジャー大会では、これまで35試合に出て何度も優勝に王手をかけたが、いまなお未勝利だ。
ファウラーもずいぶんと人がいい。
米ゴルフ界、いやアメリカにおける国民的スターでありながら、同時に「メジャータイトル無きグッドプレーヤー」という決してうれしくはない称号を与えられてしまっている状況は、過去のミケルソン、クレンショーのそれとよく似ている。
それを米メディアからズバリ問われたファウラー。聞くほうも聞くほうだが、ちゃんと答えるファウラーもファウラーで、ずいぶんと人がいい。
「僕は常に希望を持っている。フィル・ミケルソンが30歳代になるまでメジャーで勝てなかったことは知っているけど、メジャーの何試合で勝てなかったかという正確な数字は僕は知らない。
でも、僕がそれを気にする必要はない。優勝が狙えるポジションに自分を置き続けるのみ。ジャック・ニクラスだって、何度も惜敗した。僕もメジャー優勝へのドアをノックし続けるのみだ」