松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
「予選落ちすると思う」と言うが。
松山英樹のスランプと違う“難所”。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/08/06 11:40
ぐったりとイスに座り込んだ松山英樹。自分に課すハードルが高い彼だからこそ、その苦しみも深いのだろう。
アメリカで初めて見た松山の姿。
なんとかして、もう一度、流れを変えよう――そんな松山の心の叫びは、もちろん随所から聞こえていた。
17番。フェアウェイからの第2打はピン1メートルにピタリと付いた。ギャラリーから拍手と歓声が上がり、松山も少し頬をほころばせながら、ちょっぴり照れくさそうに手を上げて応えた。だが、その1メートルがカップに蹴られ、結局、パーに終わった。
最終ホールの18番。意を決したような表情でドライバーを振ると、ボールは大きく左へ飛んでいった。
「あー」
声にならない大きな吐息を漏らした松山は、思わず、ティグラウンド脇に置かれていたボランティア用の椅子に倒れ込むように座り込んだ。
こんな松山英樹をアメリカで見たのは、初めてだった。
「気分的にはいけるかなと思ったけど」
「気分的にはいけるかなと思ったけど、うまくいかない。必要以上にダボにしちゃったり、8番も全然ボギーにするような位置じゃないのに……そういうのが続いているんで、疲れました」
続いている――そう、確かにそういう展開が、このところずっと続いている。
この最終日は出だしの好発進を6番のダブルボギーとそれ以降の4つのボギーで「必要以上に」悪くした。今大会4日間を振り返っても、初日の「久しぶりにいいスタート」を2日目以降で悪くしていた。
さらに遡れば、2週前の全英オープン最終日もそうだった。後半に入り、せっかく会心のイーグルとバーディーで予選落ちの危機から予選通過圏内へと巻き返しておきながら、最終ホールで左ラフからの2打目をOBとして、上がってみればトリプルボギー。
なんとかダブルボギーで収めていれば、予選通過はできていた。だが、それも叶わず、トリプルボギーという「必要以上に」悪いスコアにしてしまい、2日間でカーヌスティから去っていった。