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オリックスからDeNA移籍の伊藤光。
“生涯一捕手”のこだわりは続く。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2018/08/05 09:00
1989年4月23日、愛知県生まれ。'08年に高校生ドラフト3巡目でオリックス入団。'14年にはベストナイン、ゴールデングラブ賞に輝いた。
トレードは本当にびっくりしたけど。
今季、伊藤は移籍するまでほとんどの時間を二軍で過ごしてきた。非常に苦しい状況と思えたが、本人からすれば決して焦ることはなかったという。
「一瞬でもチャンスは来ると思っていましたし、いかにそこを掴み取ることができるか。だから気持ちを切らすことなくファームにいるからこそやれることに打ち込んできました。一軍で当たり前にやれる選手だと思われていただろうし、絶対に手を抜くことはしませんでしたね」
待ち望んでいたチャンスは、トレードという意外な形で訪れる。伊藤は「まさかチームを出るとは思っていなかったので、本当にびっくりしました」と、驚きを隠さなかった。
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7月16日に一軍登録されると、8月2日終了時点で12試合においてスタメンマスクをかぶり5勝7敗。チーム状況が悪く投打が噛み合わないこともあるが、伊藤の真価はまだ発揮されていないように感じられる。
捕手としての所作振る舞いがいい。
前出の光山コーチは、この点について次のように語る。
「チームのピッチャーも、相手打者も完全にはわからない状態で出場しつづけているので、失点に関してはリスクを承知で使っている我われが悪いし、伊藤自身に何の責任もない。ただ、ここまで他の5球団と一通り対戦をした。この経験を踏まえ、今後どうやってピッチャーの力を引き出してくれるか期待したい」
選手会長であり、ブルペン陣のリーダーである三上朋也は、伊藤の加入について「光は新しい風ですし、チームにとって確実にプラスになると思います」と述べている。ちなみに三上と伊藤は同学年であり、かつては東海地区でしのぎを削った間柄だ。
「キャッチングもそうなんですけど。キャッチャーとして見た感じの佇まいがとてもいいんですよ。所作振る舞いというのかな。それがピッチャーや野手に安心感を与えてくれる」