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エディー・ジョーンズが語る、
「成長し続けるチーム」の作り方。 

text by

竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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photograph byKo Kawaguchi

posted2018/07/23 11:30

エディー・ジョーンズが語る、「成長し続けるチーム」の作り方。<Number Web> photograph by Ko Kawaguchi

エディー・ジョーンズの言葉に惹かれるのはラグビー関係者だけではない。組織のマネジメントはどの世界でも共通の関心事なのだ。

選手の古い習慣を捨てさせる方法。

 常に学び続ける姿勢を自らの監督哲学の1つに掲げるジョーンズ氏は、他のスポーツの著名指導者との交流も行う。

 サッカー界では、サー・アレックス・ファーガソン(元マンチェスター・ユナイテッド監督)、ジョゼップ・グアルディオラ(元バルセロナ、バイエルン監督。現マンチェスター・シティ監督)他多数の一流監督と交流がある。

 イギリス代表としてロンドン五輪で好成績を挙げたフィールドホッケー、柔道チームのコーチングスタッフをラグビーイングランド代表合宿に招き、選手と共に「他競技から学ぶ」機会をアレンジしたこともある。疲弊した肉体の回復プロセスを学びに、自転車ロードレースの最高峰、ツール・ド・フランス参加チームにも同行した。

「どんなスポーツでも監督が選手に新しいことをやらせようとし、練習では“分かりました”と言っていた選手が、試合では指示した通りに動かないということはよくある話でしょう。

 理由の1つに、選手から古い習慣が抜けきっていない、というケースもある。そんな時は、練習で選手を試合以上に厳しいストレス下に置きながら、古い習慣を捨てさせ、新しい習慣を身に付けさせる。

 選手個人、あるいはチーム全体に新しい習慣を身に付けさせるためには、通常6~8週間程度の期間が必要。この数字は自分の指導経験に基づいたもので、このプロセスで様々な場面で多くの選手の習慣を変えることに成功している」

根性論ではなく、理論に基づくコンセプト。

 チームのメンバーにハードワークを厳しく求めることで知られるジョーンズ氏だが、指導者としての自分をさらに向上させるための勉強熱心さも、また有名だ。

「試合以上に辛い練習をさせる」というコンセプトも、単なる根性論から来ているのではない。これまでに交流を持ってきた、スポーツ関連の研究者や、他スポーツの指導者から学んできた、様々なトレーニング理論に基づいてのコンセプトだ。

【次ページ】 正しく説明しなければ、誰もついてこない。

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