メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
肘の痛みにもダルが前向きな理由。
「やっぱり、原因あったやん」
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2018/07/15 11:30
再び復帰を目指してのリハビリに取り組むことになったダルビッシュ。それでも本人はポジティブな気持ちを持っているようだ。
現在進行形で口にした不安。
6月5日にキャッチボールを再開して以来、ダルビッシュの心は揺れ続けた。
6年1億2600万ドルという大型契約を交わした責任を感じていた上に、序盤8試合で1勝3敗、防御率4.95という成績がのしかかる。
クールなイメージはあっても責任感は人一倍強い。それだけに「期待に応えたい」という気持ちは強かった。いつもなら「結構、きつかった」とか「最悪だった」と過去形で話すはずが「何やってもダメなんで」、「どうしたらいいか分からない」と現在進行形で不安を口にする。それでも最初の診断の結果が「異常なし」なのだからリハビリは続いた。
そして6月25日、彼は右腕に不安を抱えながらもシングルA級マイナー、サウスベンドでのリハビリ登板のマウンドに上がった。約1カ月ぶりの実戦復帰では、5回57球を投げて3安打1失点5三振という上々の結果を残した。
90マイルの直球に「カッターか?」。
その映像を見たジョー・マドン監督が「5回を投げられるのであれば(復帰に)充分かもしれない」と楽観的なコメントを口にしたことで、地元メディアは「週末(6月30日)のツインズ戦で復帰するだろう」と伝えたが、ダルビッシュの感覚は違った。
彼は試合後、「結果としては良かったけど、(状態は)100パーセントとは言えない」と苦々しい表情で話した。
「(マイナーの選手に)ソロホームランを打たれた真っ直ぐを見て『カッター投げたんか?』って訊いてきた人がいたけど、90マイルしか出てないからそう思ったんでしょう。あれも力を入れられなかったから。3回ぐらいまでは95マイルとか出てたけど、その辺りからイニングの間に冷えてしまうというか、イニングの始まりに5、6球投げる時でもちょっと怖かったし、最初の何人かのバッターに投げる時はちょっと気をつけなければならなかった」