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肘の痛みにもダルが前向きな理由。
「やっぱり、原因あったやん」
posted2018/07/15 11:30
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
このトンネルはいったい、どこまで続いているのだろう――。
5月26日に右腕の上腕三頭筋の腱炎で故障者リスト(DL)に入ったカブスのダルビッシュ有投手の復帰が、当初の予定より遅れている。それも大幅に。
ダルビッシュが「オールスターまで何週間あるの? って感じ」と呆れたように言い、球宴後の復帰を伝えるシカゴの地元紙や日本のネットメディアの報道を否定したのは、6月12日のことだった。遠征先のミルウォーキーで投球練習を再開し、手応えがあったのか「絶対にそんなにかからない」と毅然と話し、「球宴後の復帰説」は一気に覆ったはずだった。
6月20日、味方打者相手の投球練習では、51球を投げて安打性の当たりがわずかに1本(それもバットが折れての右翼線への打球)だった。本人も「期待以上のものだった」と話すほど順調に回復していた。
ただし、不安は常にあった。
「真っ直ぐ……4シームは、最後に投げたシンシナティの試合(6回2安打1失点で今季初勝利)の感覚のまま投げられている。だから周りも『いいよ』って言ってくれるけど、周囲と自分の評価にギャップがある」
「ずっと違和感みたいなのは残ってる」
実は順調に見えたリハビリ中にも、彼は「(患部に)やっぱり、何かがある」と言い続けていた。
「ずっと違和感みたいなのは残ってるし、家で体を起こす時にもこうやって腕を伸ばそうとすれば、何か変な感じがある。『なんやねん、これ?』って」
それでも彼がリハビリを続けたのは、5月29日にした最初の検査=磁気共鳴画像装置(MRI)検査で「(筋)組織に損傷なし」と診断されたからだ。
「それでも投げたらいい球が行くから、周囲は『ええやん、もう投げられるやん』ってなるけど、投げた次の日とかあちこち痛くなるし、本当に大丈夫なんかなって思う」