マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
大船渡・佐々木朗希は本当にダルだ。
足も肩も振りも、全てがそっくり。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/07/13 07:00
最速154kmというストレートに長身……佐々木朗希はダルビッシュを想起させる。
大船渡・佐々木朗希の登場で空気が一変。
30分経って、第3試合が始まる。
いきなり、スコアボードに“153”が出た。
大船渡高・佐々木朗希(2年・189cm82kg・右投右打)が速いのは、スタンドのみんなが知っているようだった。
プレーボール前、7球の投球練習から相手チームの応援席がどよめいていた。
153キロが2球続き、150、149と続いて、4球とも高く抜けたはっきりしたボール球で先頭打者が歩く。
2番打者の初球、あきらかにストライクをとりにいったストレートが“146”なのだから、とんでもない2年生が現われたものだ。
ほぼコンスタントに150キロ前後を続けて、間にはさむタテのスライダーのコントロールも悪くない。
150キロを投げるのが、普通のことなのだ。
危なっかしさもちらつかせてはいるが。
盛岡三高の4番・川原田太一二塁手(3年・170cm74kg・右投右打)に「4番の意地」で151キロを痛烈なレフトライナーにされ、5番・佐々木莉己一塁手(3年・182cm87kg・右投左打)に外角高めに抜けたスライダーをひと振りでライトスタンドに放り込まれるあたりは危なっかしさもちらつかせていたのだが、7番・遠藤凛捕手(3年・174cm75kg・右投右打)を三振に仕留めた152キロの外角低目がすばらしかった。
その1球をきっかけに、大船渡高・佐々木朗希は何かをつかんだ。以降は、豪快に投げ下ろす150キロ前後の速球と、スタンドからはフォークにすら見えていたタテのスライダーで、盛岡三高打線を4安打2失点に抑え、11三振を奪って勝ち上がった。