“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
プロ野球監督になるなら公立校へ!?
PL出身の監督が1人しかいない理由。
posted2018/07/05 17:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
「名選手名監督にあらず」と言われるが、今年の12球団監督を見ると選手として実績がずば抜けてはいないのは小川淳司監督(ヤクルト)だけで、残る11人はすべて現役時代、タイトル(ゴールデングラブ、ベストナイン含む)を獲得している人物である。
ただし、有名選手といっても、栗山英樹(日本ハム)、辻発彦(西武)、梨田昌孝(楽天・辞任)、福良淳一(オリックス)、緒方孝市(広島)、森繁和(中日)たちは「球界のど真ん中に座っていた」選手ではないだろう。
小川監督は、オーナー、社長、代表、あるいは編成と呼ばれる背広組と意見を交わしながらチーム作りをする「調整機能にすぐれた人材」と言っていい。そして現在のNPBはそういう人が監督になることが多い。
逆の視点で見ると……球界のど真ん中に座っていた人で監督にならないケースは、結構ある。
もし松井が、野茂が監督になったら……。
佐々木主浩、野茂英雄、松井秀喜たち元メジャーリーガーにして野球殿堂入りも果たした偉大な選手ながら、監督どころかコーチにも就任していない人物がいる。
古くは張本勲、豊田泰光、衣笠祥雄、平松政次もNPBの監督経験がゼロで、現役引退後で言うと張本、衣笠、平松はコーチにも就いておらず、さらに細かく言うと豊田のコーチ経験としても近鉄の1年間だけである。
現役引退後、監督、コーチに就いていない人たちを見ると、衣笠以外は使いづらそうな人たちばかりにも思える。しかしプロ野球そのものに夢を与えてきたのは、調整力の高くない、野武士的な選手が多かったはずだ。そういう人が指導者になって監督に就いたらどんな野球を展開するのか、私は非常に興味があるのである。
松井は手作り感が半端ない「超攻撃型」の打線を作り、野茂や佐々木は「一芸名人」をずらりと揃えた超個性派集団を作っていたかもしれない。